123【陽】くっつきたい夜、我慢する恋
約束通り、着替えを持って部活に来た彩乃と一緒に、夜ご飯の材料を買いにスーパーへ寄って帰宅した。
そこまでは良かった。
――が、なぜか家事という家事を全て禁止され、今の俺はというと。
お風呂を済ませ、ソファーでゲームをしながら、彩乃が上がってくるのを待っている。
ちなみにお風呂は、彩乃が洗い物をしている間に「先に入ってきて」と半ば強制的に入らされた。
そんなことを考えていると、洗面所の引き戸がスライドする音。
もこもこのフード付きパジャマにショートパンツ――淡いピンクと白のボーダー柄。
ふわっと柔軟剤の香りをまとった彩乃が現れた。
「ひーくん、お風呂と洗濯機ありがとう。ちゃんと乾燥機もセットしておいたから、全部終わったら畳んでおくね」
「………………」
「んっ? どうかした?」
「か、かあいいです。……正直、かあいすぎて寝るまでずっとくっついていたい……です」
(昨日のこともあったし、ちゃんと言葉で気持ちを伝えるのは大事だって分かってる。
“抱きしめる”とか“寄り添う”って行為も、ちゃんと愛の形のひとつなんだって。
だから……頑張って、言ってみたけど――)
(……もう無理っ‼)
恥ずかしさの限界を迎えた俺は、パーカーのフードを思いきり被って誤魔化すようにゲームを再開した。
すると、彩乃はそっとフードを下ろし、膝立ちの姿勢で俺の頭を優しく撫でながら言った。
「私のパジャマ姿を可愛いって言ってくれてありがとう。
それに……そんな私を見て“イチャイチャしたい”って思ってくれたのも、嬉しい。
今、すっごくドキドキしてるの……。ひーくんにくっついたら、心臓の音、きっと伝わっちゃうかも?」
「………………」
「――でも、まずはこの生乾きの髪を乾かしましょう!
というわけで、イチャイチャは少しだけお預けです♪」
「ん~ぅ~」
「そんなに物欲しそうにしてもだ~めっ。
それより、ドライヤーの前にひーくんの顔に化粧水を塗っちゃうから――ほら、一回目を瞑って?」




