122【彩】違いを知ることが、愛になる
美咲の話を聞いて、ようやく分かった。
今回の“私の暴走”は、ただの知識不足による自爆。
つまり――何も問題なんてなかったんだ。
安心した途端、心の奥にひとつだけ新しい疑問が浮かんできた。
「ねぇ、美咲。心だけであんなに……下着が濡れちゃったってことは、もしあの状態でエッチしてたら……もっとすごいことになっちゃうの?」
『まぁ、理論上はそういうことになるわね。
……とはいえ、私もまだ経験ないから断言はできないけど』
「え? それ、どういうこと?」
『極端に言えば――
体だけで感じるセ○クスなら、男の満足度は100%。
でも女はせいぜい30%くらい。
だって女って、快楽より“愛情”を感じたい生き物だから。
多くの男は“イカせた=満足させた”って思いがちだけど、実際は違うのよ』
「……ってことは、今日、ひーくんに襲われててもおかしくなかった――とまでは言わないけど。
少なくとも、キスくらいはされてたと思うんだけど?」
『つまり彼は、“セ○クス=体だけで気持ちよくなるものじゃない”ってことを分かってるってこと。
彩乃が求めてたのは、その先じゃなくて“心の満足”だって察して――我慢したのよ。
……よっぽどのヘタレじゃない限りはね』
その言葉を聞いて、私は思わず小さく笑ってしまった。
だって――あの人が見せたあの一瞬の“理性”こそが、たぶん私への本気の証だったから。
後から調べて分かったけど、
男の浮気率が高いのは、“エッチに恋愛感情を必要としない”かららしい。
――“自分がイケればそれで満足”って考える人が多いんだって。
でも、女は違う。
“この人は私を愛してくれてる”
“絶対に捨てられない”――そう確信できなければ、心も体も開けない。
……たぶん私は今ようやく、“男女の違い”を少しだけ理解できたのかもしれない。




