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120【彩】最高の一日のあとで
「――っていうことがカフェであって。
お店を出たあと、ひーくんの方から手を握ってきてくれて……そのまま、いつも通り駅の改札で別れたんだよね」
『……それのどこに“不安”を感じる要素があったわけ?』
今日のデートは、本当に楽しかった。
嬉しいことも、幸せなことも、数えきれないくらいあって――間違いなく、最高の一日だった。
……なのに。
心の奥のほうで、ずっと小さな“違和感”が引っかかっていた。
だから私は、美咲に電話をかけて相談してみることにした。
事情を話すと、彼女は少しあきれたように息をついて、軽く笑った。
『じゃあさ、とりあえず今日一日、どんな感じだったのか順番に話して』
言われた通りに、最初から全部話した。
でも、返ってきたのは――少し不機嫌そうな声。
『デートプランに関してはカップルによって決め方もいろいろだし。
何より、彩乃の彼氏が“自分から”デートに誘った時点でまず100点。
ホワイトデーのお返しは120点。
彩乃が抱きついた後の対応も……正直、120点。
――私はそう思うけど?』
「彼に不満があるとか、そういうことじゃないの。
……問題は、私の方なの」
『……ふうん。じゃあ――話してみな?』




