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118【陽】理性の限界線
解説を求められたので、一通り自分の考えを話し終えた。
彩乃の反応が思った以上に柔らかくて、内心ほっとする。
――けれど、その安心感の流れで、ふと横目に映った彩乃の表情に息が止まった。
(……あれ? なんか、いつもと雰囲気が違う。
というか――ちょっと、色っぽくないか?)
「……さっき、私が抱きついた時に……ひーくんの服、ちょっとズレちゃったみたい。直してあげるね」
「えっ、どこ?」
「鏡を見ないと、自分じゃ直せなさそうだから……ほら、体ごとこっち向いて」
(ま、待て。喋り方まで――なんか妙に艶っぽいんだけど⁉)
言われた通り、体を90度ほど回して膝を突き合わせる形になる。
その瞬間、彩乃がすっと立ち上がった。
ふわりと漂う甘い香り。
次の瞬間、柔らかくて温かな感触が胸元に触れ、心臓が跳ね上がる。
華奢で、軽くて、でも確かにそこにある重み。
そのすべてを意識した瞬間――耳元に、かすかに息がかかるほどの距離で。
「(ねぇ……今日、ひーくんの家に泊まりに行ってもいい?)」




