115【陽】その頃、陽太は
「なんで最後だけ自信なさそうなのさ、も〜う。……ちょっと、こっちにおいで?」
彩乃がこういう言い方をするときって、大体“頭を撫でながら褒めてくれる時”だ。
でも、それは――周りに人がいない時限定。
だからこんな場所で呼ばれたら……逆に怖い。いったい何をされるんだ。
そう思いながら隣に座ると、彩乃は何のためらいもなく俺の腕に抱きついてきた。
「さっきのひーくんの考察は――100点。
ひーくんが選んでくれたキーケースのデザインも――100点。
つまり今日のひーくんを“彼女目線”で採点させてもらうと……はなまるです♪」
(……やばい。彩乃がこうやってくっついてくるの、帰りの飛行機以来だ。
体温とか、匂いとか……あと、柔らかい感触とか。
全部混ざって、落ち着くっていうより――心臓が爆発しそうなんだけど)
(……でも、どうしよう。
実はこのあと、“もう一つ”プレゼントがあるんだよな。
こっちが本命っていうか、今日のメインディッシュみたいなやつ。
別にそれで彩乃が俺を嫌いになることはないって分かってるけど……
せっかく今、こんなに楽しそうに笑ってくれてるのに。
もし外したら――この空気、全部壊れちゃうかもしれない)




