110【陽】ホワイトデー、俺のターン
彩乃を泣かせてしまった、あの日。
ホワイトデーのお返しは別のものにしよう、という話になった。
それから俺は、ウィンブレを一緒に選んだり、自分なりに「何が悪かったのか」を考え直したり。
それを今も行動に移しているおかげで、答え合わせをしたわけじゃないけど――彩乃の彼氏として一歩は成長できたと思う。
だってこの前、彩乃に「最近ひーくんが彼氏として色々頑張ってくれてるから、ご褒美」って言われて、頭を撫でられたんだから。
――そして本日、3月14日。
部活が休みになったので、急きょ予定を変更して、午前中から彩乃とデートをしていた。
……実を言うと、誘うだけで精一杯で。
正直に「ノープランです」と白状したら、彩乃が「じゃあ丁度いいし、お互い春物の洋服でも買いに行こうか」って提案してくれた。
もちろん、それは二人だけの秘密だ。
(でも、今日一日すごく楽しかった)
(お昼ご飯も、彩乃と倉科がよく行くっていうパンケーキ屋に連れて行ってもらったし。苺のパンケーキ、めちゃくちゃ美味しかった!)
(デートに誘ったのはいいけど、その後のプランなんて全然分からなかったから――正直、助かったとか思ってないし‼)
(でも……ここからは俺のターンだ。まあ、多分一時間くらいで終わるけど)
「最後に一か所だけ行きたい場所があるんだけど、まだ時間ある?」
「元々ひーくんとの約束はこれくらいの時間からだったし、全然大丈夫だよ。でも……どこに行くの?」
その問いに答える代わりに。
俺は彩乃の手を握り、目的地へと歩き出した。




