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隣の席の美少女だけ、俺の“無自覚最強”を知っている  作者: ITIRiN
初めてのすれ違い、涙と誓い

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112/275

109【彩】その頃、彩乃は

私の腰に回された左手と、頭に添えられた右手。

慣れていないせいで少し居心地悪そうなのが伝わってきたけれど――それでも必死に頑張ろうとしている気持ちも、ちゃんと伝わってきた。


その瞬間、心地よさやら保護欲やら独占欲やら……とにかく色んな感情が一気にあふれ出して。

私は彼の胸に顔をうずめながら、今度は自分からしっかりと力を込めて抱きしめ返した。


するとそれが、ひーくんの中では「女の子の扱い方の正解」みたいな確信に変わったのか――。


「彩乃が今泣いてる原因は俺にあって。

それに、彩乃が毎日弁当を作ってくれてた理由の一つに、お金じゃ返せない何かがあるってことまでは分かった。……でも、その先はどうしても分からないんだ」


(ひーくんは、明日香に怒られてからずっと――私が泣いた理由を考えて、考えて、何度も考え続けてくれたんだよね。

……でも、どうしてもそこで詰まっちゃった。

だけど、そこまで考えてくれただけで本当に嬉しい。今のあなたがここまで分かってくれたなら、もうそれだけで100点満点だよ)


(だからこの先は、一緒に考えて。二人で、次に繋げていけばいいんだよ……)


「でも二度と同じ失敗はしない。……いや、もう二度と彩乃を泣かせたりしないって誓う。

そもそも別れる気なんて一ミリもない。だから――もう少しだけ時間をくれ」


男女で考え方が違うのは当たり前。

『なんで私の気持ちを分かってくれないの?』なんて一方的に怒っても、意味なんてない。


それに、ひーくんみたいな恋愛下手な人には――「一緒に、どこが悪かったのか考える」ことの方が大事。

そう思っていたけど……。


彼氏が「自分のためだけに頑張る」なんて言ってくれたら、期待しないわけがない。

その気持ちに応えるように、私は抱きしめる力をほんの少し強めて――小さな声で囁いた。


「……じゃあさ。絶対に私と別れないっていう証拠――ホワイトデーのお返しで、ちゃんと見せてもらおうかな?」


(……ちょっと意地悪すぎたかな? でも、撤回なんて――してあげない♪)

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