100【陽】彼女、突然のマネージャー宣言
せっかく彼女ができたというのに、明日から春休み。彩乃に会いたいなら、自分から連絡を取るか、あっちから来るのを待つしかない。
――とはいえ、新幹線の中で悩みに悩んだ挙句、倉科に助けを求める俺がそんな芸当できるはずもなく。
『今日は頑張ったし、明日考えよう』
そう自分に言い聞かせ、仕事を終えて眠りについた。
そして迎えた本日、2月15日。
東京に行った翌日は必ず学校を休むくせに、部活にはしっかり顔を出すというスーパーウルトラ真面目男・一之瀬陽太君は、自称“鉄分補給になる”という紙パックのフルーツジュースを片手に体育館の扉を開けた。
「あっ、ひーくん。おはよう」
「……すみません。今日は家庭科部が体育館を使う予定でしたか。お邪魔しました」
そう言って扉を閉めようとした瞬間、倉科さんがそれを手で押さえ、睨みつけてきた。
「なんだ倉科、家庭科部に入部したのか? そうか、今まで世話になった。ありがとうな」
「どう考えても家庭科部が体育館を使うわけないでしょ! いいから早く入りなさい!」
「はい」
仕方なく中に入ると、他の部員はまだ来ておらず、広い体育館に三人だけ。
俺は飲みかけのジュースを飲みながら、ふと横を見ると――。
「今日から私、この部活のマネージャーをやることにしたから。よろしくね」
「ブフッーーーーーッ‼」




