お祭り男、いざダイブ
エタリ上等、対よろです。
フルダイブ型VRMMO、なんてものが一般的になって干支一回り。
運営によるシナリオシフティングや、AIによる整合性のサポートなどが行われるようになって早5年ほど。
マンパワーと広告・スポンサー資金のつぎ込まれた大型タイトルは、その没入感を失わせないよう近未来物が主流となり、
モニターで遊んでいた時代に主流だった中世ファンタジーMMOは小型タイトルがポツポツと出る程度となっていた。
そんな時代に突如発表された新作FDVRMMO「Golden Age」が、ゲーマーの間で話題になったのは、
中世ファンタジーの大型MMOが久しぶりだったからだけではなかった。
AI開発・実用化のトップランナーと呼び声高い「I4U」社がついに参入、
シナリオやキャラ作りに評判のある老舗RPGメーカー「TRY PHOGIC」とタッグを組む。
さらにハードウェアはM社もV社も初日から対応と、あからさまな業界全体の協力体制。
素人には想像もできないようなAI学習量と、その出力に大筋の整合性と物語性を持たせられそうな老舗の経験値に、全世界のゲーマーが期待させられてしまったのだ。
複数回に渡って行われたベータテストもその期待を押し上げた。
第一回で目立った強すぎるビルドの気持ちよさはそのままに、より難しいコンテンツをじわじわ解禁。
不遇とされたジョブやスキルも、クエストやシナリオの結果次第でプレイヤー固有の性能になり、
どんな遊び方でもいずれ環境ビルドになると言われるほど、細かな調整やユーザーによる開拓が盛んに行われたためだ。
AIが膨大なユーザーデータから、ユーザーが選択したジョブの割合、スキルの使用率やそれらにまつわるユーザー評価などをもとに性能を変動させるシステムがとても流動的で、
度重なるアッパー・ナーフ調整も、ユーザーからはおおむね、「いずれまた楽しめる時が来るからいい」と好評なほどであった。
20XX年の初夏、大型連休直前の週末に設定されたサービス開始日。
「サービス初動のお祭り感」を何よりの楽しみにしているライトゲーマーであり、
本作の主人公である、墾田 英年は、
豪勢に有給を取得し、連休の前半と土日を連結してまでこのゲームに臨もうとしていた。
プレイヤーひとりひとりがゲームに影響できるなんて、最高のインタラクティブ体験じゃんね
TRPGやらRP鯖やらのブームに乗り遅れた悔しさ、ここで晴らさないでか
などと意気込むハリタ青年。SSDの力でインストールバーはスルスルと進み…
ヴィーーーーーーーン(色とりどりのドットが過ぎ去る懐かしのダイブテーマ)
『Welcome to your...
Golden Age■』
彼の冒険は始まったのである。
「よ〜し! 1番楽しんでやるからな〜!」
主人公の構築ばっかり強くてずりぃなと思い、構築コロコロしたり、あるいは調整を誘導したりする作品が読みたくてですね…
誰か代わりに書いてくれてもいいんですよ…?