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4話 逃亡OLのゴブリン狩りとスキルの使い方

 3人を気絶させるよりも、ゴブリン1体を倒した方が断然経験値が入るのが分かった。



「この辺りにはゴブリンがいるみたいだし、倒してレベル上げてみるか。<転移>スキルの熟練度が上がるかもしれないし」



 <勇者>スキルの恩恵のおかげか、イージーモードに設定したRPGのようにレベルが上がっている。


 けれどここは痛みも裏切りもある現実だ。


 私は同じ<勇者>スキルを持った単純そうな赤髪の少年を思い出し、溜息を吐く。



「クソ悪質だな。ああいう純粋な子が勇者なのも狙ってのことなのかも」



 幸いなことに友人たちが赤髪の少年にはついている。悪いな大人たちに騙される前に友人たち助言してくれることだろう。



「まあ、私も人の心配をしている場合じゃないんだけど」



 ここはゴブリンの血の臭いに釣られて他の魔物たちが来たら厄介だ。


 ……いや、むしろ待ち伏せして仕留めた方がいいのかも。休憩もできるし。獲物が来ないなら移動しようっと。



 私は手近にあった大きな木に上ると、ペットボトルの水をちびちびと飲み始めた。


 そして10分ほど経過すると、今度は3匹ほどの粗末な棍棒を持ったゴブリンが現れる。


 ちょっとスキル<転移>の性能を調べたいので、私は心の中で<転移>と念じた。


 ……しかし、何も起こらない。スキル名を口に出さないと発動しないようだ。



「<転移><転移><転移>」



 今度は小さく連続で唱える。すると、ゴブリンの頭がポポポーンと3つ飛んだ。



「リキャストタイムはなし、とりあえず7メートルぐらい離れても発動っと」




*********




▶レベル10になりました。


▶スキル<転移>の熟練度がF→Eになりました。


 スキル<転移>

 MPを使用し、最大100キロメートルまでなら他人と自分と物を転移させることができるようになりました。難易度に応じてMPを使用し、物質以外のものも転移できるようになりました。


 



*********




「物質以外のもの……? 魂とか?」



 いまいちよく分からない。


 私は木の上から飛び降りると、美しいフォームで着地する。ステータスが上がったおかげなのか、以前の身体機能ではありえない動きができた。



「よく分かんないけど使ってみるか。……物質以外のものを<転移>」



 試しに実験として4匹のゴブリンの死体にスキル<転移>を使った。



*********



▶ゴブリンからスキル<打撃F>を転移しました。


▶ゴブリンからスキル<打撃F>を転移しました。


▶ゴブリンからスキル<打撃F>を転移しました。


▶ゴブリンからスキル<打撃F><聴力D>を転移しました。



▶蜂須莉々菜のスキル<打撃>の熟練度がF→Eになりました。





*********




名前: 蜂須 莉々菜

性別:女

年齢:22歳

種族:異世界人


レベル:10

HP:1500/1500

MP:890/1000


筋力:150

攻撃:200

防御:50

知力:80

素早さ:100

幸運:30


レジェンドスキル

勇者G


ユニークスキル

転移F


ノーマルスキル

打撃E 聴力D





 スキル<打撃E>

 打撃の威力が40%上がる。


 

 スキル<聴力E>

 範囲50メートル以内で聴力が上がる。




*********





「嘘でしょ、魔物のスキルを自分に転移できんの!? めちゃくちゃ有能なスキルじゃん」




 私は心底驚いた。


 この力を使えば、理論上はスキルを増やしたい放題である。



「まずはスキルの性能を確かめるか。スキルの性能の説明的は自動発動っぽいけど……」



 とりあえず、ゴブリンの持っていた棍棒を手に取り、思いっきり地面に叩きつけた。


 すると、ドガンッという鈍い音と共に地面が軽く抉れた。棍棒の上3分の1が粉々に砕け散る。次にスキル名を呼びながら地面を叩くと同じ結果になった。



「私よりステータスが低かったとしても、ゴブリンに囲まれて棍棒で殴られていたら危なかったな」



 ファンタジー作品とかでゴブリンに村が襲われて滅ぶ系の話はあるあるだが、その理由がよく分かった。数の暴力って怖いね。



「次は……えっとスキル<聴力>」



 何も起こらない。


 今度は目を瞑り、耳に意識を高めてみる。


 すると、頭の中がふわふわとする感覚と共に、色々な音が聞こえた。枝が揺れて重なる音、川の水の音、複数の魔物の声。


 方向を定めて意識を向けると、その部分の音がより鮮明に聞こえた。



「<聴力>を身体に覚え込ませるのは少し時間がかかりそうだな」



 ステータスを見ると、この二つのスキルはHPを少し消費するようだった。MPを消費しないのはありがたい。



「<転移>の範囲も最大100キロメートルになったし、国境越えは問題なくなっただろうけど……」



 これから追手が来て戦闘になった場合に備えて、レベルとスキルを増やしていきたい。


 それと、現状詳しい地図がロベリア王国しかないのだとしたら、国境を越える前にどこかの街で旅の支度を整えたいといのもある。


 国境を越えた後の生活を考えると、今日は可能な限り魔物を倒しておきたいのだ。



「「「ギャギャッ」」」




 ちょうどお客さんが来てくれたことだし。レベル上げとスキル強奪を頑張りますか。




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