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3話 逃亡OL絵に描いたようなチンピラと出会う

 チンピラたちの装備をすべてはぎ取った後、私はすぐに熟練度が上がったらしい<転移>を5回使った。


 スキルの説明通りならば、チンピラたちがいた街から50キロメートル離れたはずだ。



「……でもまだ国境は超えていないよね」



 今度は街中ではなく、土で舗装されただけの街道に出た。夜だからか、人はいない。私は木の陰に隠れると、戦利品を広げた。


 地球とは違う仕組みで着火するライター、地図、焼き菓子が少し、ナイフ3本、ウェストポーチ、安そうなピアス、傷だらけの指輪、銅っぽい素材のネームタグ、靴3足、ズボン3本、シャツ3枚、パンツ3枚――――そして、お金!



「うっひょー! これは銅貨、銀貨、金貨もある! 同じ材質でも大きいのと小さいのと種類があるんだ」



 チンピラ3人分のお金に私はホクホク顔だ。


 それぞれの硬貨の価値がどの程度かは分からないが、それなりの金額になるに違いない。


 私は奪い取った焼き菓子を食べながら、今度は自分の鞄を取り出した。。



「地球から持ってこられたのは、着替えたスーツ、600mlの水、栄養ゼリー、化粧ポーチ、ハンカチ、財布、ボールペン、スマホ、携帯充電器……って、あれ?」



 スマホの電源を入れると、時刻がちょうど異世界に誘拐された13時5分で止まっていた。



「別に壊れていないよね? 電波が入らないせいか……」



 そう呟くと、空に朝日がうっすら差した。どうやら地球と一緒で、夜はきちんと明けるらしい。



「まあ、分からないことを考えるのはやめて、これからのことを考えようか」



 このまま人の住む街に行くのは危険。でも国境を越えたか、追手が来ていないかを判断するためには、人からの情報収集が必要だろう。


 水は600mlしかないし、食料だってもって1日だ。


 厳しい状況の中、私が思い出したのが先ほどの脳内で流れた声だ。


 優し気で涼やかな女性の声だった。



「ステータスオープン」



 

*********




名前: 蜂須 莉々菜

性別:女

年齢:22歳

種族:異世界人


レベル:2

HP:300/300

MP:150/200


筋力:30

攻撃:40

防御:10

知力:16

素早さ:20

幸運:6


レジェンドスキル

勇者G


ユニークスキル

転移F


ノーマルスキル



*********




「MPが増えてる! しかも、レベルアップの時にMPも回復しているっぽいな。10キロメートル転移で変わらず10MPしか消費しないのは嬉しいな」



 このまま単純に15回転移をすれば、150キロメートル離れられるけれど……。



「チンピラが持っていた地図でも見てみるか」



 薄汚れ折りたたまれた地図を広げた。



「あ、文字が読める。異世界転移特典かな」



 地図の真ん中には、ロベリア王国とある。そして、東に山脈があり、西は黒く塗りつぶされていた。そして南にアジュガ帝国とあるが、その国土は一部しか描かれていない。


 主に、ロベリア王国について詳しく描かれた周辺地図のようだ。


 ということは、ここはロベリア王国の可能性が高い。



「私が連れてこられた城がロベリア王国の王都だとしたら……今までの転移が南に55キロだから……そうなると、アジュガ帝国との国境まであと1000キロってとこか。ここが国を出る最短っぽいし……よし、頑張るか!」


「ギャギャッ」


「ん?」



 尖った耳に、ボロ布を腰に巻き、ギョロギョロとした目とギザギザの歯。


 知らない声に驚いて振り向くと、そこには体長110センチほどの緑色のモンスターがいた。



「典型的なゴブリンきたぁぁあああ!」



 私のテンションが上がった。


 ゴブリンは私の奇声に驚き警戒態勢を取る。


 勇者スキルに××特攻とあった時から予想していたが、この世界にはファンタジー作品でいう魔物がいるらしい。


 この世界を創った奴は地球ファンタジーが大好きなんじゃなかろうか。



「喜んでる場合じゃない。とりあえず倒さないと」



 なんとなく戦利品のナイフを構えてみるが不安でしかない。


 体育の授業でやった柔道以外に武術の心得はないし、ナイフは単純にリーチが短く初心者向きとは思えない。


 攻撃を当てることができたとしても、自分も攻撃を食らう可能性は高い。


 回復手段もない中で怪我をすることは極力避けたい。


 

「スキルで倒すしかないってことか」



 幸いにもゴブリンは集団ではなく1匹だけ。それならばスキルでどうにかなるだろう。


 ダメならば逃げればいいだけだ。


 

「ついでにFランクに上がった性能を試させてもらうよ。<転移>」



 私がそう唱えるとMPが10減り、ゴブリンの頭だけが3メートル先に転移した。



「ギュ?」



 一瞬そう呻いたかと思えば、ゴブリンは頭のなくなった首から血が噴き出した。


 一撃必殺。衝撃グロ映像である。




*********




▶レベル5になりました。




*********

 



 私は開いたままになっていたステータス画面に視線を移す。




*********

 

名前: 蜂須 莉々菜

性別:女

年齢:22歳

種族:異世界人


レベル:5

HP:750/750

MP:500/500


筋力:75

攻撃:100

防御:25

知力:40

素早さ:50

幸運:15


レジェンドスキル

勇者G


ユニークスキル

転移F


ノーマルスキル



*********



「いや、魔物の経験値おいしすぎない?」


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― 新着の感想 ―
ゲヘヘなチンピラどもに情けも容赦も不要! でも、パンツまで剥ぎ取ってたとは予想外でした(笑) 私は汚パンツは要らないけど……転移で敵の頭に被せて視覚と嗅覚を奪うアイテムとして使えると思うと、ちょっと悩…
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