ルーカスが私と会いたかった理由
エリーゼが私をここに連れてきたのは、私とルーカスを会わせるため?
先ほどの不自然な演技とともに、ここを離れたエリーゼの姿を思い浮かべる。
感情が顔に出やすいエリーゼは、きっと嘘も苦手なのだろう。
でも、なんでわざわざ嘘を? 正直に言ってくれればいいのに……。
っていうか、自分の婚約者が他の女性と2人きりで会うの嫌じゃないのかな?
普通なら断るか、モヤモヤを抱えたまま仕方なく協力するパターンだと思う。
でも、さっき会ったエリーゼは朝よりも非常に元気そうに見えた。
まだ出会ったばかりで好きじゃないから、平気なのかも?
まあ、それよりも……。
「ルカ様。今日はいろいろと驚いてしまいましたよね。本当に申し訳ございませんでした」
せっかく会えたならと、ずっと困惑顔をしていたルーカスに改めて謝罪する。
本来なら謝るべきは私じゃなくエリオットだと思うのだけど、彼からの謝罪は期待できないだろう。
ペコッと頭を下げた私に、ルーカスが慌てて顔を上げるように促す。
「いやっ! フェリシー嬢が謝ることなんて何も……っ! 驚きはしましたが、それは誰かのせいとかではありませんから!」
「ルカ様……」
やっぱり優しい……私の推し。
さっきはバタバタで堪能できなかったけど、このお顔も声も素直すぎる反応もすべてが可愛くて愛おしい……っ!
ニコッと微笑みながら落ち着いた女ぶっているけど、頭の中ではいろいろな表情をしたルーカスのファンアートが出来上がっていく。
これを投稿して同担の方々に見てもらうところまで妄想が進んだとき、ルーカスがちょっと照れたように下を向いた。
「……正直、あなたがエリオット様の婚約者だと聞いたときが1番ショックでした。あなたと婚約するものと思って、心躍らせていましたから」
………………ん?
サラッと言われた爆弾発言に、笑顔のまま固まってしまう。
あまりにも正直すぎるその言葉を、素直に受け取っていいのか迷ってしまったからだ。
「えっ……と?」
「あっ。急にこんなことを言ってすみません! でも、大丈夫です! このことはエリーゼ様とも利害一致していて、お互い合意していますので!」
「え?」
エリーゼと利害一致?
「それに、エリオット様との婚約の件も……本当は婚約していないと、エリーゼ様に聞きました」
「!?」
えっ!? あれが嘘だって、ルーカスに言っちゃったの!?
それ大丈夫!?
事実なので間違いではないけど、エリオットの思惑を邪魔するようなことをして大丈夫なのかと心配になってしまう。
いくら実の妹とはいえ、バレたら何をされるかわからない。
ルーカスの突然の爆弾発言、エリーゼの心配、エリオットにバレたらという不安で脳内パニックになりかけたとき、ルーカスがニコッと爽やかに微笑んだ。
今日初めて見るルーカスの笑顔に、すべてがどうでもよくなる。
まっ……ぶしい! なんて眩しすぎる笑顔……!
神々しくて目を開けていられないわっ!
こんな綺麗な花に囲まれた場所での推しの笑顔! ここは天国なの?
軽く混乱していた頭が、推しのおかげである意味冷静になる。
目の前のルーカスに胸がときめくほど、先ほどの彼のセリフが聞き間違いではないのかと思えてくる。
えーーと? さっきのは、どういう意味?
私とエリオットが婚約してると知ったのが1番のショック?
私と婚約すると思って、心を躍らせてた?
それって……まるで私のことが好きみたいに聞こえちゃうけど、まさかそんなはずないよね?
「フェリシー嬢がそれについて何も言えないことも、エリーゼ様に聞いています。なので、嘘か本当かは答えなくて大丈夫です」
「…………」
「ただ、俺がそのことを知っているということだけ、伝えたかったのです。そうでないと、人のものを奪うような男だと誤解されてしまいそうなので」
「え?」
何? なんの話? 人のものを奪う?
ルーカスの言っていることがわからず、ただ静かに聞いていることしかできない。
わかるのは、エリーゼ同様、ルーカスも先ほどに比べてやけにスッキリした顔をしていることくらいだ。
まるで、モヤモヤしたものが吹っ切れて覚悟を決めたような……そんな強い意志を感じる。
「フェリシー嬢。俺は……エリーゼ様とは結婚しません。あなたと結婚したいのです。一度は諦めかけましたが、がんばってみることにしました」
「え…………ええっ!?」
ピロン
『【攻略対象者の追加チャンス】
ルーカス・クロスターを攻略対象者に加えますか?
はい・いいえ』
「!!!」
何これっ!? 攻略対象者に追加!? ルーカスを!?
ここまで読んでくださった方、ブクマや評価・リアクションをしてくださった方、本当にいつもありがとうございます。
また少し更新をお休みして、今回のようにまとめて毎日更新できるように準備したいと思います。
再開までお待ちください。
よろしくお願いいたします。




