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なんでディランは怒ってるの?


 優しくなったと思っていたのに、今のディランは少し前の恐ろしいディランそのままだ。

 なぜいきなり不機嫌になったのかも謎だけど、やけに詳しく状況を話したエリオットも謎すぎる。

 わざわざ「ルーカス様に俺の婚約者だと言ってフェリシーを紹介したことについて」なんて、言う必要あったのか。



 

 そんなの、ただ「話をする」だけでいいじゃん!

 変な誤解を生みそうだし、余計なことは言わないでよ!



 

 結果なぜかディランを怒らせてしまったわけだけど、エリオットは驚いた様子もなく嬉しそうに笑っている。

 まるで、そう言えばディランが怒るとわかっていたかのようだ。

 このまま暴れ出したらどうしよう……と思っていると、ディランがボソッと呟いた。


 

「……俺も行く。お前の婚約は家族である俺にも関係していることだからな。俺も一緒に話を聞く」

 

「フッ。好きにしろ」

 

「…………」



 

 え? ディランも行くの? 

 家族だからって、兄の婚約者を気にするような関係だったっけ?



 

 今はもう私に家を出ていってほしいとは思ってない──この前ディランはそう言ってくれたけど、さすがに身内になるとなったら嫌なのかもしれない。

 由緒正しい公爵家の婚姻に関わることなのだから、それも当然だ。



 

 反対するためについて来るのかな?

 そもそも、そんなのエリオットだって同じ気持ちだろうし、本当に婚約なんてするわけないのに。




 変な空気のまま3人でダイニングに入ると、2人はすぐに自分の椅子に座った。

 どこに座ればいいのか戸惑っている私に、ディランが自分の隣の席をトントンと指で叩く。



 

 ここに座っていいってことだよね?



 

 2人の様子を見ながら腰を下ろすと、すぐにエリオットが話を始めた。


 

「さて。改めて、俺はフェリシーと婚約しようと思う。2人、何か意見は?」


「…………」


 

 チラッとディランが私を見たので、先に言っていいと判断して恐る恐るエリオットに問いかける。


 

「あの……私が聞きたいのは、どうしてそんな嘘をルーカス様の前で言ったのかと……」

 

「ああ。あの場でそう言ったら、彼がどんな反応をするか見てみたくてね。それに、嘘ではないよ。フェリシー。君は俺と本当に婚約をするんだ」

 

「……はい? いえ。でも私は平民で、公爵家につり合わないどころかその可能性すらゼロの立場なのですが……」



 

 何言ってるの?

 まだ悪ふざけが続いてるの?




 笑顔を作る余裕もなく、思いっきり不審な目をエリオットに向けてしまっている。でも一度怒鳴ってしまった私が、今さらそんなことを気にしても仕方ないだろう。

 エリオットは私とディランどちらの反応も楽しむように、話を続ける。


 

「俺は自分の婚約者には身分を求めてないんだ。貴族と結婚したら、そちらの家族との関係も始まるだろう? それが面倒だからな」




 婚約者に身分は求めてない?

 クロスター公爵家という家柄を求めてエリーゼたちを婚約させた張本人が、何言ってんの?


 

 

「ですが、エリーゼ様は公爵家の方と婚約を……」

 

「ああ。俺以外の兄弟には、この家のためにきちんとした家柄の方と結婚してもらうつもりだ」

 

「…………」



 

 それって、自分は貴族との結婚なんて面倒だからごめんだけど、兄弟には貴族と結婚させる……ってこと? 

 そんなの……ただのクズじゃん!



 

 唖然とした私の隣で、ディランがガタッと勢いよく椅子から立ち上がる。

 あまりにも堂々とクズ発言をするエリオットを見て、我慢の限界を迎えたらしい。


 

「お前っ……何言ってんだ!? そんな自分勝手な意見が通るとでも思ってんのか!?」

 

「ああ。俺の命令は絶対だ」

 

「ふざけんな! そんなの誰が聞くか!」


 

 ギャーギャーとうるさい兄弟喧嘩が始まってしまったけど、私にはそれを宥めている暇なんてない。

 今は、先ほどのエリオットのセリフについて考えるのに忙しいからだ。



 

 ってことは……ふざけてるわけじゃなくて、まさか本当に私を婚約者にしようとしてるってこと? 

 え? 嘘でしょ?



 

 激昂しているディランに怒鳴られていても、ずっと笑顔のまま余裕そうなエリオット。

 何を考えているのか、本当にわからない。



 

 もう! なんなの!? 



 

「はぁ……」と小さなため息をついたとき、ダイニングのドアがガチャッと開いた。

 3人の視線の先には、ビトと分厚い本を持ったレオンが立っている。



 

 ビトとレオン!? なんでここに?



 

 レオンはビトの横を通ってダイニングに入ってくるなり、私たち3人を順番に見回した。

 非常に迷惑そうな顔をしている。


 

「……何やってるの? うるさいんだけど。あっちのほうまで怒鳴り声が響いてたよ」


「!」




 レオンが自分から話しかけてきた!?

 


 

 自分から声を発したレオンを見て、思わずギョッとしてしまう。

 相手が家族であれば、本に関係ないことでもレオンから話しかけることがあるんだと驚いたからだ。

 レオンのあとにダイニングに入ってきたビトも、言い訳のように説明を始める。


 

「たまたまこちらを通りかかったら怒鳴り声が聞こえたので、思わず足を止めてしまいました。少ししたらレオン様がいらっしゃったので、ドアを開けさせていただきました」


「そうか」



 

 ……たまたま通りかかった? 

 絶対に嘘だ。きっと盗み聞きするつもりで、私のあとをつけてたのね!



 

 地獄耳のビトなら、隣の部屋や廊下にいても中の会話は丸聞こえのはずだ。私から送られている疑いの目に気づかないフリしているのか、ビトはずっと私を見ないようにしている。

 そんな無関係な2人が突然来たというのに、エリオットは2人を追い出すどころか参加するよう促した。


 

「大事な話し合いをしていたんだ。二人にも意見を聞こう。俺とディランのどちらがフェリシーと婚約するべきか」


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