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エリオットにバレてた!?


 今のは聞き間違い? という気持ちで、パチパチ瞬きをしながらビトを見つめる。

 ビトはそれを全否定するかのように、「フェリシー様の正体、バレてました」と繰り返した。


 

「ええええっ!?」


 

 思わず出てしまった大声に、ビトがサッと自分の耳を塞いでいる。

 そんなビトへの迷惑など考えず、私はビトの服を掴んで彼に詰め寄った。


 

「どういうこと!? なんで私がエリーゼだってバレたの!? 私、ルカ様の前でワトフォード家の名前出してた!?」

 

「出していませんよ。バレたのは、ディラン様がきっかけです」

 

「え? ディラン様?」



 予想外の名前に、眉を顰めて首を傾げる。

 私がパニック状態になっているのがおもしろいのか、不機嫌そうだったビトが少しだけ口角を上げる。

 そして、物語を聞かせるように声のトーンを落とし、丁寧に話し始めた。

 

 

「はい。ディラン様やレオン様が孤児院まで来ていたあの日、ルーカス様は2人の姿を見ていたのです。そして、その外見からすぐにワトフォード公爵家のご子息だと気づいた」

 

「…………」

 

「あんな路地裏で、隠れるようにして孤児院の中を覗いている公爵家のご兄弟。ルーカス様は不思議に思うはずです。あの2人は何をしているのだろう? と。そして、気づくのです。自分と一緒にいる名前も知らない貴族令嬢が、二人と同じ赤い瞳であることに」


「…………」


「さあ。そのとき、ルーカス様はどんな結論に至ると思いますか?」

 

「……その貴族令嬢は、その兄弟の家族……だと思う」

 

「そうです。その時点で、ルーカス様はあなたがエリーゼ・ワトフォードだと気づいたのです」

 

「…………」


 

 ビトの説明がわかりやすくて、なぜそうなったのかすぐに理解できた。

 理解はできたけど……頭がついていかない。



 

 え? その頃から、ルーカスは私のことをエリーゼだと思ってたの?

 ……待って。それって、結構前だよね? 王宮のパーティーよりも前だったよね? 

 じゃあ、あのときルーカスがディランを追いかけたのって……。



 

 ルーカスは、ディランに「妹のエリーゼ様のことで話がある」と言っていた。

 そのときはエリーゼが婚約者だと聞いて、挨拶しようとしたのかと思ったけど……ルーカスの言う『エリーゼ』が、私のことだとしたら──。


 なぜか急にルーカスが「男と孤児院に行ったと知られたらどうなりますか?」と聞いてきたことを思い出す。

 あれが、ディランに見られたことに慌てて聞いてきたのだとしたら……王宮では、その件についてディランと話そうとしてくれたのかもしれない。



 

 全然……気づかなかった……っ!



 

 不思議に思っていたことが、どんどん線になって繋がっていく。

 そういうことか! とスッキリする気持ちよりも、いろいろバレていたことのショックのほうが大きい。


 

「……あれ? じゃあ、ディラン様がルカ様から逃げたのって……」

 

「顔を見られていたので、孤児院を覗いていたことをフェリシー様の前で言われたくなかったんでしょうね」



 

 そういうこと!?



 

 なんだか、一気に疲れが出たようでガックリと脱力してしまう。

 もうこのままベッドに横になって寝てしまいたいくらいだ。



 

 ダメ。まだ横になってる場合じゃない。

 一番大事なこと……エリオットにバレてたことについて、しっかり考えなきゃ!



 

「エリオット様の件だけど、ルカ様と話して察したってことは、あの大事なお客様が来るって言ってた日に知ったってことだよね?」

 

「はい。おそらく」



 

 ってことは、あの視察の付き添い……あの日には、もう知ってたってことじゃん! 

 だから、エリーゼが見つかっても私をルーカスと結婚させるって言ったんだ! ルーカスが私をエリーゼだと思い込んでるって知ったから!



 

 あとで別人と説明するのも面倒だから、そのまま私を結婚させてしまえと思ったのだろう。

 他人のことはただの駒としか思っていない、冷徹なエリオットらしい結論だ。



 

 だから、この前「エリーゼの顔を見たら驚くだろう」って言ってたのね! 

 私が出てくると思ったら違う女性が出てくるわけだから、そりゃあビックリするよね!



 

 それをあんなに楽しそうに言うなんて、やっぱりエリオットは性格が悪い。

 でも、そんな性格最悪のエリオットが私に嫌味を言ってこないのは、いったいどういうことなのか。




 ルーカスに会っちゃっただけじゃなく、エリーゼだって誤解までされて……エリオットにとっては想定外の事態なわけで、即ゲームオーバーになってもおかしくないのに……。




 好感度が下がるどころか、溺愛ルートに変更できてしまったくらいプラスになっている。

 なぜそんな状態になったのか──ビトなら何かわかるかも……と期待して、私は今まで話していなかったことを打ち明けることにした。


 

「実はね、エリオット様と出かけた日に「エリーゼが見つかっても関係なく、私をエリーゼの婚約者と結婚させる」って言われたの」

 

「……この前のお2人の会話を聞いて、そんな話があったんじゃないかって思っていました」

 

「さすが、ビトは鋭いわね。でも、聞いていた通りその話はなくなって、『エリーゼをルカ様と結婚させる』って意見を変えたのよ。急にどうしたんだろうって不思議だったの。ビトは、どう思う?」

 

「……急に意見を変えた?」

 

「うん」

 

「……出かけた日、その話をしたあとに何かありましたか? たとえば、エリオット様の態度が変わるような何かが」


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