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推しとガチ恋は別です!


 ……あっ。もしかして、私……推しが婚約することに嫉妬してる!?



 今までは、どこか遠い世界の話のようで、ルーカスとエリーゼの婚約に現実味がなかった。

 でも、挨拶に来ると聞いた瞬間、急に現実味を帯びてしまったのかもしれない。




 だからって、ガチ恋の相手じゃなくて推しだよ?

 嫉妬なんてそんな……。

 


 

「どうしました? フェリシー様」

 

「え。な、なんでもないわ」

 

「そうですか」

 

「うん、そう。なんでもない。なんでもない。なんでもない」

 

「?」


 

 言い聞かせるように呟く私を、ビトが不思議そうな目で見てくる。

 いろいろなことに鋭いビトが、私がルーカスを推していることに気づいていない様子なのは──胸キュンという感情を、あまり知らないからなのかもしれない。



 

 恋愛の好意とは別で、誰かを推すっていう感情はビトには無縁そうだもんね。

 でも、もし私がルーカスを本気で好きになったら、それは気づかれちゃうのかな?



 

「…………」



 

 って、本気で好きになったらって何!? そんなことにはならないし!



 

 推しが本気の恋の相手になってしまう人もいると思うけど、私は完全に現実と推しを分けて見ているタイプだ。

 推しであるルーカスを本気で好きになるなんて、私のルールにも反するし絶対にありえない。



 

 そもそも、ルーカスはエリーゼの婚約者だから! 

 もしね、万が1……億が1、本気で好きになったところで、絶対に結ばれることはないし!



 

 そんな悲しい恋をするくらいなら、このまま推しとして一線を置いておきたい。

 それに、正式に婚約者のできたルーカスとは今後会うことはないはずだ。



 

 さようなら。私の最推し……っ!

 今までたくさんのラブとときめきをありがとうっ!




 心の中で推しへの感謝の気持ちを述べてから、何事もなかったかのように冷静に尋ねる。


 

「ルカ様が来るなら、私は部屋から出ないようにしないとね。エリオット様に、そう言われているんでしょう?」

 

「いえ。一緒に顔を出すように言われました」

 

「そうよね。使用人でも親族でもない女が家にいたら、不審すぎるもの……って、え? 顔を出すように?」

 

「はい」

 

「ルカ様とエリーゼの顔合わせに、私も行くってこと?」

 

「はい」

 

「…………」



 

 はあああ!? なんで!? 私、ワトフォード家とは無関係なんですけど!?

 顔出すって何!? どんな立ち位置!? 

 っていうか、なんでビトはこんな平然としているわけ!?



 

 私とルーカスが顔を合わせたら大変だと知っているくせに、なぜかビトは焦った様子もなくスンッとした表情で立っている。

 たしかにビト自身には関係ないことかもしれないけど、もっと私に寄り添って慌ててくれてもいいと思う。



 

 王宮のパーティーのときは、ルーカスとディランを会わせないようにって動いてくれたのに! 

 なんでこのピンチにはそんな無関心顔!?



 

「ちょっと! それ、大変じゃない!? エリオット様は私とルカ様が会っても何も問題ないと思ってるかもしれないけど、私たちはすでに知り合いなんだよ!? 事前に何も伝えずに私たちが初対面じゃないって知ったら、エリオット様がどう思うか……」

 

「大丈夫ですよ。エリオット様はすべて知っていましたから」



 

 は?



 

「すべて知ってたって……何を?」

 

「フェリシー様が一緒に孤児院を回っていた相手が、ルーカス様だったってことです」

 

「…………」



 

 え? バレてた? 

 ルーカスと会ってたこと、バレてた? ……なんで?




 それを知っているのは、私とビトの2人だけだ。

 私が誰にも言っていない以上、ビトがエリオットに話したことになる。



「……ビト。もしかして、話したの?」

 

「話していません」

 

「じゃあ、なんで? ビト以外で、そのことを知ってる人なんていないのに……」


「俺だって、どうせ知られるなら自分から言いたかったですよ」


「え?」


 

 そう呟くなり、ビトは不機嫌そうに「はぁ……」とため息をついた。

 さらに小さな声で「驚くエリオット様の顔、見たかったのに……チッ」と言っていたけど、聞こえなかったことにしておこうと思う。

 でも、この様子では本当にビトが話したわけではなさそうだ。




 ビトじゃないなら、いったいどこからその情報を?

 



「エリオット様は鋭い方ですからね。ルーカス様と話しただけで、そこまで察してしまったようですよ」

 

「ルカ様と話した? あ。やっぱりあの大事なお客様ってルカ様だったのね。でも、なんでそれで私と会っていたことがバレるの? ルカ様は私がワトフォード家と関係あるなんて、何も知らないのに」

 

「知っていたんですよ。ルーカス様も。フェリシー様が、エリーゼ・ワトフォードだって」

 

「…………」


 

 え? ……え?


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