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エリーゼはどんな子?


 元自分の部屋だからか、慣れた様子で長ソファに座るエリーゼ。

 私も座っていいのか迷い立っていると、隣に座るように促されてしまった。


 

「フェリシーさんもこちらにどうぞ。……と言っても、もうここは私の部屋じゃないんだけどね」


 

 クスッと愛らしく笑うエリーゼ。嫌味に受け取れるようなセリフではあるけど、たぶんそういうつもりで言ったのではないと思う。

 それくらい、エリーゼからはギスギスしたような空気を一切感じない。


 

「……すみません」

 

「あら。どうして謝るの? あなたがこの部屋を使っているのは、エリオットお兄様の指示でしょ? あなたが気に病むことはないわ。それに、新しい部屋を用意してもらえて私も楽しんでいるから気にしないで」

 

「…………」



 

 え……女神? 悪魔の住む家に降臨した女神なの?



 

 私が自分で望んだわけではないことをわかってくれた上で、さらに私が気にしないように楽しんでいると言ってくれる。

 エリーゼの優しい心遣いに、私は両手を合わせて拝みたくなった衝動をなんとか抑え、頭を下げた。


 

「ありがとうございます」

 

「あっ。そんな堅苦しいのはやめて。私たち、同じ年なんでしょ? もっと気軽に仲良くしてほしいな」

 

「ですが、私は元々ただの平民で……」

 

「そんなの関係ないわ。髪型や瞳の色も一緒なんて、運命みたいじゃない? あ。でも、私はもう髪色が変わっちゃったんだけどね」

 

「運命……」

 

「そう、運命よ。ふふっ。あのね、私……今まで友達とかいなかったから、あなたと仲良くしたいの。だから敬語はやめて、普通に接してくれないかしら? だめかな?」

 

「…………」



 

 え……聖女? すべての空気を浄化させる聖女なの?



 

 まさかこの家の中で、癒しのオーラに触れ合えるなんて思っていなかった。

 可愛い顔面から発せられる可愛いセリフの連発に、私はコロリと落とされてしまった。



 

 可愛い! エリーゼ、超可愛い!

 仲良くしたい? そんなの、こっちから土下座してお願いしたいくらいだよ!



 

「もちろん。喜んで」

 

「わぁっ。ありがとう! じゃあ、フェリシーって呼んでもいい? 私のことは、エリーゼって呼んで」

 

「え。で、ですが」

 

「お願い」


 

 キュルンとした愛らしい瞳に見つめられて、ズキューンと心臓が撃ち抜かれてしまう。

 なんとも可愛すぎる小悪魔ちゃんだ。


 

「わ。わかりま……わかったわ。エリーゼ……」

 

「ありがとう! フェリシー」



 

 くっ……ルーカスといいエリーゼといい、攻略対象者以外の人はみんな聖人レベルのいい人ってどういうことなの。

 この2人の優しさを、もっと攻略対象者にもつけてくれよ!



 

 そんな心の叫びにもがいていると、エリーゼが急にテンションを落として姿勢を正した。

 これから本題に入るのだとなんとなく察し、私も真剣に向かい合う。


 

「フェリシー。今日は、本当にありがとう。ディランお兄様から聞いたわ。あなたが私の身代わりとして連れてこられたことも、私を捜して孤児院を回ってくれていたことも。会ったこともない私のために、ありがとう。迷惑をかけてごめんなさい」

 

「迷惑だなんて、そんな」

 

「でも、私がいなかったら代わりに知らない方と結婚させられるところだったのよね? 間に合ってよかったわ」



 

 エリーゼ……自分もいきなり婚約者の話を聞いて戸惑ってたのに、身代わりの私の心配まで……!

 天使!



 

「私は大丈夫よ。貴族の方と結婚できるなんて、とてもありがたいお話だし」

 

「! 嫌ではなかったの?」

 

「まあ、知らない方との結婚は不安もあるけど……」



 

 相手はあのルーカスだもん。嫌どころか、大歓喜レベルじゃない?

 私が今まで出会った人の中で、ルーカス以上の結婚相手はいないし! 他の男じゃたしかに嫌だけどね。



 

 エリーゼは、自分の身代わりとして私が望んでもいない結婚をさせられそうだったことに、罪悪感を抱いているらしい。

 もうその話はなくなったわけだし、気に病まないでほしい。ここは、嫌ではなかったとハッキリ伝えてエリーゼの罪悪感を消してあげなくては。


 

「私は、嫌ではなかったよ。だから、そんなに気にしな……」

 

「だったら!」

 

「!?」


 

 いきなり、ガシッと手を掴まれる。

 突然前のめりになったエリーゼの迫力に、思わずビクッと肩を震わせてしまった。



 

 え!? な、何!?



 

 エリーゼが、何かに期待するように瞳を潤わせながら、私を見つめている。どこか切羽詰まったような表情だ。

 私に何かを求めている──というのは伝わってくる。


 

「あの…………いえ。なんでもない……」

 

「…………」



 

 絶対なんでもなくないよね!? 絶対何か言いかけてたよね!?



 

 でも、何か言いたいことがあるの? なんでも言って! ……とは言ってあげられない。

 この流れで、エリーゼが何を言おうとして躊躇したのか……なんとなくわかってしまっているからだ。



 

 もしかして、身代わりを続行してほしいって思ってる?

 見知らぬ貴族との結婚を嫌がっていないのなら、私の代わりに結婚して……そう言おうとしてた?


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