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下拵えは大事ですよ

空想繁華街███████。

おや?まだ名前が認識されないようですね?

まぁその辺はいずれわかるでしょう。

空想繁華街と名のつく通り仮想世界にある繁華街というコンセプトのサイトである、内容としてはイラストや音楽などを手懸けたりするクリエイターとVTuberなどの活動者をマッチングしたり支援するサイトだ、現実世界では表向きそのようになっているが実はサイトには掲載されてない空間があり、資格や縁のあるものだけ裏の部分にアクセスできるのである。

その空間の一角にあるガレージBAR『fiori per dio』

物語の舞台はここから始まる。

『マスター?やってる?私喉乾いたよー!!』

白衣を着た女性が店に入るなりどこかに向かって発した。

店は広めのガレージにカウンター席といくつかのテーブル席があり店主の趣味なのか数台の自転車が壁に飾ってある。

カウンターの奥が厨房らしくそちらの方から声がした。

『相変わらず確認せずに入ってくるんだな?表に準備中の札ぶら下げてあっただろうが?』

どうやら常習犯らしく悪びれる様子もなく既にカウンター席に、腰かけジタバタしながら。

『えーいいじゃん、減る訳でもないし私達の間柄じゃん♡♡』

『それよりチョコミント!!こういう日はチョコミントに限る!!早く!!作って!!』

まだ見ぬ店主のため息が聞こえるのはお構いなく、白衣の女性は注文を伝えた。

その時いつの間にか女性とも男性とも判断が難しい中性的な顔立ちのウエイターらしき人物が現れ何も言わずにニコッとしながら騒がしいカウンターに飲み物を持ってきた。

『今は仕込み中だからとりあえずそれ飲んどけ、この前仕入れたニルギリを水出ししたアイスティーだ。』

厨房の奥から諦めた口調でそう伝えた。

『んーー♡♡さっぱりしてて美味しいね、、で?チョコミントは??』

『聞こえなかったのか?い・ま・は・仕込み中だ、少し我慢しろ他の客が来る前には作ってやる。』

『はーーい、今日は何準備してるの?いつも大概何でも出てくるけど何か甘い香りしない?紅茶とは違う感じだからフルーツとかの香りかな?』

『ん?あぁ、よく分かったな?いい感じのイチゴが手に入ってな色々作ろうかと思ってるんだ』

『へぇ?イチゴかぁ、私じゃなくてあの子好きだもんね、お土産で何かヨロシク!!』

『へいへい、そちらも抜かりは無いですよっと』

未だ姿が見えない店主と白衣のやり取りをウエイターが笑顔で見守っているとき、白衣が思い出したように話を切り出した。

『そういえば、少し前に表を利用してくれた子?この前引退発表してたよ、季節の変わり目で新しいことに挑む前向きな引退っていってたねぇ……。』

『まぁこの界隈では珍しくない感じの理由だな、後ろ向きな引退じゃないないなら祝って送り出してやれば良いんじゃないか?』

『それはそうなんだけどさー、知ってる人の引退って辛いよねー』

『そうさな、まぁだからこそここでの縁があったからもうひとつの可能性が生まれるんじゃないか?』

そう意味深な言い方で白衣に言葉を返す。

『あーーーっ!!てことは今日の仕込みってそういうこと?』

『そういうこと』

謎のやり取りが、交わされそろそろ仕込みが終わる様子。

『さてと、今回のお客さんはどうなるやらな…。』

『あ、そいえばミントシロップ切らしてたからチョコミントはまた今度なww』

白衣の悲鳴に似た奇声が店いっぱいに響き渡り店のオープンである。


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