ストロベリーショートケーキ⑫
店内にいたはずの果実が目を覚ました。
そこは不思議な空間だった、ひどく寒く果実自身もそうだが辺りには大小様々の氷塊が宙を彷徨ってていた。
『おやおや?何で君がここに居るんだい?果実くん?』
声のする方へ視線を向けると雨具のようなものを着ている少女が氷塊の上に腰かけていた。
『えっと、ケーキを食べて気がついたらここに居たのですが?』
そう果実が答えると、少女の眉間にシワがよった。
『あんのっ駄犬め、ここぞという時にやらかしたなぁ……。』
『ごめんね?多分色んなことが起こりすぎてトドメを刺したみたいかな』
溜息をつきながら少女はそう答え。
その様子を見ながら果実は少女に問いかけた。
『あの?なんかすごく申し訳ないのですがご説明を貰えると助かるんですが……。』
不安そうにしている果実を不安がらせてしまった事を察した少女は急に笑顔になり応え始めた。
『んと、わかったよ』
『あ、その前にちょっとまってて先に苦情いれるから』
どこからかスマホを取り出し、通話をしていた。
『コラ!!なんでお前さんはここぞとい時にやらかすんだ!!』
話し相手の声が聞こえてくる、どうやら先程の店主のようだ。
『ごめんね、今あいつに本当に準備しないといけないもの用意させるから』
『その間に話せる事は説明してあげるよ。』
『ままっ、ちょっと寒いけどそこにかけて』
目の前の氷塊のひとつが気がつけば氷でできた椅子になっていて、申し訳程度にハンカチが敷かれていた。
『とりあえず、キミが本来身体に取り込む予定だったものとは違うものを取り込んでしまった。』
『イレギュラーなことが起きて、本来キミが来るはずではないココへ飛ばされたわけなんだよ。』
少女がケラケラと緊張感なく淡々と話してる。
『ちなみに申し訳ないけど、ここが何処かとか私についても今は答えられないかな?ごめんね』
『あ、多分そのうちキミならまた会えるかもね、縁ができちゃったし』
顔は笑っているのに不思議と声は笑っていなく背筋に寒気が走る果実。
『えっと、じゃあ店主さんとのご関係は?』
何となく聞いてみたいことを全て答えられわけも分からず変なことを聞いてしまった。
『あぁん?あの犬っころとはビジネス!!ビジネスパートナー的なだけですー!!』
明らかに嫌そうな顔で少女は答えた。
その時
『あ、きたきた、ちょっとまってて』
座った椅子の前に同じデザインのテーブルが現れた。
『へいらっしゃい、これがキミに本来必要なものだよ』
目の前にはコンビニで売ってそうなペットボトルの紅茶飲料と皿に乗った1つの苺のショートケーキが置かれていた。
『え?これって』
困惑する果実に少女は答えた。
『これはキミの原点で、キミが祝福乃果実である証明に必要な事。』
ニコッと少女はもう一度笑いかける。
『ようはもっかいハッピーバースデーをやり直そうって事なんだよ簡単に言うと。』
『アイツ、さっき会った店主も言ってたと思うけどキミはこの世界でいまだ不安定だからこの世界のものを口にして取り込み、馴染ませることが必要なんだ』
『そのためにキミの原点であるささやかだけど幸せと未来への不安が詰まったそれらを口にするそこから再スタートするんだ。』
そう言われると果実は涙ぐみながらも笑い始めた。
『そっか、そういう事なんですね仕組みとかちゃんとした説明は明らかにはぐらかしてますけど、いつか説明してくれますか?』
果実の目の前に居る少女は飛びっきりの笑顔で答える。
『そりゃもちろん、今回やらかした店主にテーブルいっぱいに美味しいもの用意させて、女子会しながらおはなししようや。』
果実が深呼吸する。
『さっきの覚悟なんだったのでしょうね。』
『でも不思議とわるいきがしません。』
『『頂きます!!!』』
そういうと、果実は目の前のショートケーキにフォークを刺して大きく頬張り、ペットボトルの紅茶も直ぐに飲み干した。
『happybirthday私!!』
『祝福乃 果実は私だ!!ここにいるよ!!』




