ストロベリーショートケーキ⑩
扉の奥から聞こえる店主の声が話を続けた。
『さて、なら次は今の現状とココの説明をしていこうかな。』
果実は空のグラスを握ったまま店主の言葉に耳を傾けた。
『まず、キミの現状だ、実を言うとキミ現状存在はまだあやふやで不安定な状況にある。』
果実の眉間にシワがよる
『不安定?あやふや?』
不安そうな果実をスルーし店主は続ける。
『そう、キミはこの世界というかココではまだ産まれたばかりの赤ん坊みたいな感じで、存在を維持してるのもまだやっとな感じかな?』
安心させるように優しく店主は語り続ける。
『マテルベノンナは表向きVTuberやストリーマー、クリエイターなんかの支援やコミュニティサイトだが今我々が居るこの空間はあくまで非公開の限られたものしか知らないし、我々でさえまだ把握していないエリアも存在するようなのだよ、現状ある情報や手段を駆使してキミのような新しい来訪者の受け入れや対処をそこのドクとしているんだ。』
すっかり話を聞いていて存在を忘れていたドクがこちらをみながらピースサインをして凄いドヤ顔をしている。
『まぁ、私たちも手探りしながらやれることをしてるだけなんだけどねェ』
『事前に存在をキャッチ出来る場合と出来ない場合があるから、我々もまだ人手が足りてない現状だが、キミは事前に予兆があったからこうしてドクを待機させ迎えに行くことが出来たのさ。』
『予兆というと?具体的には何があったのですか?』
『キミが、まだ良子さんと2人でひとつの果実さんだった時にマテルベノンナの噂話などは聞いた事は無かったかい?例えば存在しないはずのアバターやVTuberを見かけたとか?』
そう言われ果実はハッとした。
『私と同じ事が前にもあったということですか?』
隣いるドクがウンウンと頷いている。
店主が話を続けた。
『そういう事だよ、一定確率で分離前に予兆のようなものが起きるようなのだよ、キミもその1人というわけさ。』
『しかも、良子さんの想いが余程強かったのか確実にキミがこちら側へ来ると確定出来て下準備も時間をさけたから大助かりだったよ。』
そこで果実は新しい疑問が生まれた。
『下準備っていいましたよね?それにさっきはまだ不安定とも?まだこの先に何かあるんですか?』
そう問いかけると店主は答える
『なかなかに、勘はよいようだね。』
『キミには今から決めて貰わないといけない、このままココで果実として生きていくか、はたまた無かったことにして眠ってもらうかを……。』




