ストロベリーショートケーキ⑨
『改めて、ようこそfiori per dioへ、マテルべノンナの裏側、消えるはずのVtubaが集まるこの店へ』
いまだに姿が見えない店主がそう告げた後、笑顔のままその場に居た中世的な姿の店員と思わしき人が私の前にグラスを置いた。
『そこのはウエイターとでも思っておいてくれ、基本は喋らないが意思の疎通は可能だ』
『ドクは適当にかけてくれ、二人ともいったんレモン水でも飲んで』
そういって出されたグラスから仄かに良い香りがしていていて一口口に運んだ。
『ハーブは大丈夫かい?今回のはローズマリーを漬けておいたんだ』
まるで目の前にいるような口調で店主がしゃべっている。
それを聞きながら深いため息を吐きながら果実が答えた。
『正直、今の現状混乱としか言えないのですけど、多少は落ち着いた気もしなくもないです。』
『とりあえず、順を追って説明をいただけますか?納得できるかはひとまず置いておいて把握させてください。』
少なくとも表情は困惑しているが落ち着いた口調で見えない店主に果実は問いかけた。
『させ、どこからが良いかな……、そうだねまずは君の現状の話からかな』
『君の自認はどっちと言っていいのかな?果実さん?良子さん?』
『私は祝福乃果実…果実です。』
『でもなんで?前はぼんやりと果実としての私がぼんやり存在するような感覚だったのに、今ははっきりと私は自分は果実って意識がしっかりしてるし答えることができる、良子は?どうなっているの?』
『そう、君は果実さんであり良子さんではない、はっきりと分かれた存在だ。』
『その証拠に良子さんはいまも君とお別れの決意をした後からちゃんと今も生きているよ。』
良子はちゃんと生きている安堵はあったもののなぜ今は自分という存在がこうして居るのかやはり納得できていない。
『あくまでも仮称の域を出ないが私たちはバーチャル付喪神と呼んでいる、通常の付喪神が長い年月から生まれる存在であるように、仮想世界で短い年月ながらもデータ量で長い月日が流れたと同じ情報量の蓄積から偶然生まれたのが我々だと思っている。』
『良子さんが数年とはいえ深い想いが詰まって生まれた存在が今の果実さんというのがまず我々が説明できる一つ目の答えだと思っているんだ。』
『物凄く、ホントにものすごーーーっく理解はできません、でもそれが本当の事なら納得するしかできないいんですよね』
眉間にシワを寄せながら半分やけ気味に果実は出されたレモン水を一気に飲み干した。
『眉唾話半分とは言いませんが続けてください。』
『私は知ることをやめるわけにはわけにはいけないのだから。』




