ストロベリーショートケーキ⑧
人通りが多い広場を抜け、裏通りの方へと手を引かれるがままに果実はドクの後を追う。
『いったい何処に向かってるんですか?』
『んぁ?えっとね、手っ取り早くいうと喫茶店?bar的なお店だヨ』
『んとね、もうちょっとで目印が…あったあった』
指さす先には古びた自販機があった
『いや、コレって自販機ですよね?』
『まぁ、見た目はただの自動販売機でもねこうすると』
そういってボタンをいくつか操作するとパネルに肉球のマークが点灯した。
そのとき「ガチャ‼」という音が聞こえて自動販売機がドアのように開いた。
『え?扉?』
果実が驚いているとドクがニヤッと笑った。
『スピークイージーって知ってる?昔あった隠しbar的な入口をイメージした作りなんだ』
ドクがニヤニヤしながら自慢げにしている。
『そこまでして隠す場所なんですか?』
果実が訝しげに聞くと意外とドクはあっけらかんと答えた。
『便宜上こういう仕組みにしてるだけかな?色々制約もあってネ』
そういいながら慣れた手つきで扉を開けた。
『ここからは完全にマテルべノンナの裏側だよー、扉開けてすぐにお店じゃなくてあくまでも裏側の入口だネ』
そう言うようにほのかに明るい通りがひらけていた。
色々建物はあるなか一つの建物の前へドクは案内した。
『ここは?えっと名前が「fiori per dio」?』
『fiori per dio、神に捧げる花って意味だネ』
『神に捧げる花…。』
店というよりこじんまりとしたガレージに木製の扉そこにかけられた白い花の環と真鍮でできたようなプレートに店名が刻印されていた。
果実がドクに聞いた
『ここが目的地?なのですか?』
扉の前でドクが答える
『そう、ここが目的地、そして君がここにいる理由を多分だけど教えてくれる場所でもある』
『さてさて、店の前で話し込むのもあれだし中に入ろうか。』
そういってドクは扉を開けた。
<カラン>
鈴の音が鳴り店内に入る二人、まじまじと店内を見渡す果実
いくつか並ぶテーブルや椅子バーカウンターがありお酒の瓶や茶葉の巻グラスやカップが並んでいる。
店主の趣味だろうかいくつかぬいぐるみや壁に自転車などが飾ってある。
そして目に付く人影
『えっと?お店の方ですか?男性?女性?』
そう聞かれても返事をせずニコッと笑うだけの店員と思わしき人
そのときカウンターの奥の扉の方から人の声が聞こえた。
『いらっしゃい、祝福乃果実さんだね、待ってたよカウンターの椅子にでも腰かけてくれ』
姿が見えないまま言われた通りに腰かけた。
『改めて、ようこそfiori per dioへ、マテルべノンナの裏側、消えるはずのVtubaが集まるこの店へ』




