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「絵には終わりがある。描き始めたときには実はすでにもう絵は完成しているんだ。この小さな真っ白な一枚の四角いキャンパスの中でね」としずくは言った。

「その完成している線を見つけるために僕は鉛筆を動かしている。その線をみつかられたときに、鉛筆は自然に止まる。そして僕はその線を見て感動する。なぜならその線は僕の想像を、いつも必ず超えているから」しずくは言う。

「歌を歌っているときに私が感じていることは、自分が自分ではなくなっていくような感覚なんです。変な感じに聞こえるかも知れないけれど、まるで身体がどろって溶けていくような感じがします。とても強い喜びを感じて、信じられないくらいの力が湧き上がってきて、私の歌を聞いてくれている一人一人の顔がはっきりとわかって、自然と笑顔になれます。誰かが私の体と声を使って私の代わりに歌を歌っているように感じるんです」のぞみは言う。

「それは理想の君自身?」しずくは言う。

「どうでしょう? よくわかりません。私は自分では歌の神様が私に力を貸してくれているんだってよく思ってました。小さな子供のときからずっと」と自分の小さなころを思い出して笑いながらのぞみは言った。

 森の中にはとても美しい花が咲いている。名前も知らない綺麗な花。色とりどりの色彩をした花。

 美しい花。感情。エモーション。

 自然の中にあって自然の中にないもの。それはつまり人の心。私の今の気持ち。それはどこに行ってしまうのだろう? しずくさんが言っていたようにそれは消えることなく、しずくさんの描いている私の絵の中にそれは永遠に消えることなくとどまることができるのだろうか?

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