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「季節は変わり、森は絶えず日々変化をしている。同じように見えても同じじゃない。この景色は今日しかない。明日には消えてしまう。だから誰かが消えてしまう前にこの景色を見てきちんと覚えていなければいけない。誰かがこの風景を記録して、世界の中にとどめていなければいけないんだ」

「私はそうは思いません。永遠にこの世界の中にとどまっていられるものはなにもありません。変化するものは、絶えず変化しただけます。それは自然のあるべき姿なんです。それをすべて覚えることはできません。記録し続けることもできません」

 まっすぐにしずくの目を見ながらのぞみは言った。

「僕が森の風景画を描くようになったのは、森の無限の可能性に惹かれたからだ。そこにはなんの作為もない。ただの自然の風景だけがある。それはとてもシンプルで、美しい。その美しさは僕に無限のインスピレーションを与えてくれる」

 しずくは言葉を話しながらも、その手の、鉛筆を持っている指の動きを止めなかった。

「歌を歌っているときにどんなことを考えている?」としずくは言った。

「私の歌を聞いてくれたいる人のことを考えています」とのぞみは言った。

 どこかで鳥の鳴いている声が聞こえてきた。優しい風が世界に吹いて、森の葉がかすかに揺れて音を立てる。無限のインスピレーション。確かにいま、のぞみの頭の中で新しい音楽が鳴り始めている。無限のインスピレーション。無限のインスピレーションか。なるほどな。とのぞみは思った。

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