表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/55

53

 空き部屋を借りて着替えをしたのぞみはいつもの練習着になってアトリエの真ん中に立った。

 いつもはじっとしてばかりいるアトリエで踊ることはなんだか不思議な気持ちになった。しずくはソファに座って楽しそうな顔をしてのぞみのことを見つめている。傍らにある小さなテーブルの上にはアイスコーヒーが置いてあった。

「それではお願いします」

 と言って頭を下げてから、のぞみは自分の新曲のダンスを踊った。しずくの家にある音響機器からはのぞみの新曲が大きなスピーカーこらとても透明な音で流れている。

 のぞみは力いっぱい踊った。無心のまま。ただ踊りたいように、自由に体を動かした。楽しかった。のぞみは自然と笑顔になった。まるで自分の体がなくなってしまったみたいだと思った。

 ああ、楽しいな。

 こんなに楽しい気持ちになったのはいついらいだろう?

 最後のコンサートいらいかな?

 あのときは泣いちゃったな。

 絶対に泣かないって決めていたのに泣いちゃったな。

 なつかしい。

 まだあれから一年もたっていないのに、なんだかずいぶんと遠い昔のような気がする。

 曲が終わっても、体の中に熱が残っている。まだまだ踊り足りないと思った。

 体が火照っている。汗をかいている。気持ちのいい汗。のぞみはゆっくりと緊張をといていく。

 それと同時に小さな拍手の音が聞こえる。

 振り向くとそこにはしずくがいて。しずくは拍手をしながら、踊り終わったのぞみのことをじっと輝く瞳で見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ