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 そんないくじなしの自分をもう一度信じさせてくれたのは、一歩を歩き出す勇気を与えてくれたのは、しずくの絵だった。

 愛の溢れる絵。

 優しさでいっぱいの絵。

 涙で、悲しみで、本当は心がいっぱいのはずなのに、それでも強く生きようとする力を意思を、その絵を見る人に与えてくれる希望の詰まった絵。

 ずっと昔に忘れてしまっていた、大きくなってから口にするとやすっぽく聞こえてしまうような、そんな言葉たちが、のぞみの心を胸を強く打った。

 そうだ。私は私の歌を聞いてくれる人たちがこんな風にあったかい気持ちになれるようなアイドルになりたかったんだと思い出した。

 しずくの絵を見ていると、愛が伝わってきた。

 しずくの愛が伝わってきた。

 めぐみの愛が伝わってきた。

 二人の愛が感じられた。

 絆が。

 強く。本当にとても強く。

 伝わった。

 だから勝てないと思った。

 誰かに絶対に勝てないとそうのぞみが思ったことは今が初めてのことだった。

 そんなことを思いながら、のぞみは隙を見てしずくにぎゅと抱きついた。甘えるように。ぬくもりを求めるように。あるいは、助けを求めるように。

 ぎゅと、なにも言わずに抱きついた。

 しずくはなにも言わなかった。拒絶もしなかった。でもその手はのぞみを抱きしめてはくれなかった。その手はそっと優しくのぞみの両肩の上に置かれているだけだった。

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