表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/55

34

「高校を卒業したら僕はめぐみと結婚しようと思っていた。この家はそのために買ったんだ。買ったと言っても、空き家になっていた母の親族の家を安く売ってもらったんだけど、僕はそのために自分の絵を売るようになった。それまで僕は自分の絵を売ろうなんて全然思っていなかったんだ。僕は絵を完成させることだけを考えていた。自分の絵をお金と交換しようなんて思ってはいなかったんだ」

「お金を稼ぐ画家になるつもりはなかったと言うことですか?」のぞみは言う。

「いや、そう言うことじゃない。もちろん画家になるつもりだったし、そのためには絵を売らなくてはいけないこともわかっていた。作品主義というか、絵は売らないで、すべての絵を自分で所有しようと思っていたわけでもないんだ。それなのに絵を売ろうなんて全然考えていなかった。単純に子供だったんだと思う。僕は子供だった。ううん。今もそうなのかもしれない」としずくは言ってコーヒーを飲んだ。

「確かにしずくさんは子供ですね」

 楽しそうに笑ってのぞみは言った。

「僕は大人になろうと思った。めぐみのために。二人の幸せのために。子供ではなくて、きちんとした大人にならなくちゃいけないと思ったんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ