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 初めてしずくと会ったとき、しずくはのぞみのことを全然知らなかった。そのことは世界的に有名なアイドルであるのぞみにとってはびっくりしたことだったし、自分自身でも少しだけ驚いた。(国内だけでなく海外でも変装しなくてはのぞみは街を歩くことはできなかった)

 初めてしずくを見たとき、この人は天使なのだとのぞみは思った。私を天国まで連れて行ってくれる人。私を導いてくれる道標のような人なのだと思った。でもそれは間違いだった。しずくは天使ではなかった。背中に翼は生えていないし、頭の上に天使の輪っかも存在していなかった。

 誰かに命を救われるという経験をしたことは初めてだった。その感情はのぞみの中でやがて恋に変わっていった。その恋はこれからきっと愛というまだ経験したことのない感情に変わっていくのだろう、とそんなことをのぞみは思った。

 毎日レッスンばかりの日々だった。夢に向かって走り続ける毎日。辛かったこと。嫌なこと。怪我をしたこと。失敗したこと。喧嘩したこと。いじめられたこと。いろんなことを思い出した。

 しずくのアトリエに飾ってある絵は森の絵ばかりだった。

 アトリエの奥にある倉庫のような場所にはきちんと布に包まれてしずくの描いた絵が保管されている。たくさんの森の絵。もうこの世界から消えてしまった風景がそこにはいっぱいしまってあった。

「今なにを考えている?」しずくの声が聞こえる。

「私たちは見たこともない不思議な世界にいます。その世界の中を二人だけで手をつないで歩いています。でも少ししてから、ああ、この場所はきっと『天国』なんだと私は思いました。緑色の草原の広がっている大きな月の見える早朝の時間帯のような空気の流れている、青ではな青色を基調としていろんな色の混ざっている絵の具で描いたような空のある場所です。ちょっとだけの森に似ています」ぼんやりとしながら、のぞみは言う。

「少し休憩にしよう。お腹も減ったし、なにか作るよ。」としずくは言った。

「私も手伝います」といろんな思考を中断してのぞみは言った。

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