終
……ってなわけで、王女とその召使は勇者一行に助けられ、やむなくを得たってことだ。
どうだい? 少しは眠く……って、寝てるし。
あー。これだから子供は分からないねぇ。自分から聞きたいって言っておいって、途中で寝るなんて。まぁ、眠らすために読んでたから当然と言えば、当然だけど。
にしても、あれだね~。こいつ、ホント両親にそっくりだわ。顔つきとか、髪とか、体格……はまだそんなに近くないな。うん。
流石は、似た者同士の子。両親同士がそっくりなら、子供も似たようになるとは思っていたけど、まさかここまでとはねぇ。ホント、意外だわ。
さて、私もそろそろ……って、おやおや? ようやく帰ってきたのかい?
すまないねぇ、子供がいるのに、こんな時間にお遣いさせて。
ん? 子供はどうだったかって? ああ、お話を聞かせたらぐっすり眠っちまったよ。『アンタ達』の話をね。
まぁ、いろいろと私なりの独自の解釈ってのを入れたがね。ああ、心配なさんな、アンタ達の名前は出してないから。
しかしまぁ、アンタ達も大変だったねぇ。
あの馬鹿に振り回せれて、ここまで来るのに相当苦労して、そんでもってこんな所で働かされたんだから。っていうか、いつの間に私はあいつにツケなんてものを作らされたのやら。
全く、本当にあの馬鹿ときたら、嘘を付くなら、もっとマシな嘘を付けってんだい。しかも、手紙に『よろしく頼む』しか書いてないんだから、こっちもビックリだっての。
え? 迷惑だったかだって? そりゃあそうさ。いきなり子供を二人も押し付けられたんだからね。何のこっちゃと戸惑ったよ。
まぁ、人手も足りないと思ってたし、上の部屋が空いてたから住み込みでもちょうど良かったし……おかげで、楽しい日々を送らせてもらってるしね。
それに、子供の出産だなんて、大変だが大事な場面にも立ち会えることができたんだ。いい経験をさせてもらってるよ。
ただ……自分より年下の奴らが子供を産んだってのが、ちょっとばかし心の響くけど。
……なーんてね。冗談だよ、冗談。そんな真剣な面しなさんな。……って、ちょっと、本当にどうしたんだい、二人そろって暗~い顔して。葬式でもやるつもりかい?
え? 私に感謝してるって? んでもって、迷惑をかけてすみませんだって?
よしてくれよ。それこそ、お互い様だっての。
これでも、ホントに楽しい毎日を過ごしてるんだ。まるで、子供ができたみたいな感じで。アンタ達には感謝してるんだ。こんな私でも、家族が持てたような気がしてね。それが、無償に嬉しくてたまらないんだ。
全く、こんな状況になるなんてこと、夢にも思わなかったよ。
って、何か老後のババァみたいなこと言っちまった。こんな事を言いたかったわけじゃなにのに……。
あ~、つまりはだな、その、何だ……とにかく! 私たちはアンタ達に感謝してるし、楽しい思いもさせてもらってる。だから……負い目とか、そういうの、感じて欲しくないんだ。
それに、あの馬鹿がそんな顔みたら、私が嫌味を言われるんだよ。お前は、世話を頼んだ人間をこんな暗い顔にして平気なのかって。
……いや、まぁ、確かに普段のアイツからはそんなこと、微塵も考えられないだろうけど……いや、普通の時、以外でも信じられないか。
でも、アンタ達も知ってるだろう? アイツはあんな感じだが、それでも、微かで微弱でミジンコ並ではあるが、人を思いやるくらいのことはできるんだよ。
なーんて、思ってもないことを言ってみたり。
あーあ、やっぱりこういうことは慣れてないわ。私は先に寝るよ。
ああ、そうだ。
レン、リリア。
幸せになれて、良かったね。
二章完結です。
一章とは違って、四ヶ月程かかってしまいました。これはあまりにも遅すぎですね。三章ではもっと速くしていきたいと思っております。
しかし、三章の方はまだストックがさほどないので、もしかしたら、一ヶ月程投稿しなくなるかもしれません。
三章が終わった後は、新作も出していきたいと考えていますので、そちらの方もよろしくお願いします。
感想、ダメ出し、誤字の訂正、何でも待ってます。
それでは!