第2話 王子たちの作戦
それから1ヶ月ほどが経過した頃、再度王の会談が行われ、2人の王子は再会を果たした。
2人ともこの日を待ち望んでいた。
2人は、独自に、密会の手段を検討していた。
再会するとすぐに、密会の手段に関するお互いの考えを共有した。
ポイントとなったのは、いつ、どこで、その2点だった。
まずは、いつ会うか。
子供とは言え、王子なので少なからず習い事や仕事がある。
それらを可能な限り早く終わらせて、自由時間を作る必要がある。
さらに、できた自由時間に、外せない用事が被らないようにしておく。
王子たちは、互いの予定を確認し、一番時間が取れそうな、毎月半ばを密会の時期に設定した。
あとは、どこで会うか。
今までのように、一方が他方の王宮に出向くには、正式な手順を踏む必要があり、また、片方への負担が大きすぎた。
そこで王子たちは、国境付近で密会に使えそうな場所を探した。
国境付近には古びた教会があった。
さらに都合がいいことに、その近くには互いの王家が所有する別荘があった。
つまり、別荘に遊びに行くという名目で、国境付近の教会に出向くことができるのだった。
これで、時間と場所が決まった。
次に考えるべきは同伴者の存在だった。
彼らは王子だ。何をするにも最低限の召使いが同伴する。
召使いたちに密会を隠し通すことは不可能だった。
王子たちは召使いに密会の計画について話した。
召使いたちは王子たちの考えに反対しなかった。
王子たちが自由に生きるためのサポートをすることが自分の役目。
それが召使いたちの思いだった。
召使いたちは王子たちに助言をした。
彼らの密会は秘密裏に行われるべきだと。
召使いが同伴するとはいえ、王子二人がいるとなると良からぬことを考えるものも現れかねない。
密会のことは、王子たちと召使いたちだけの秘密となった。
そうして、密会の段取りが決まった。
彼らの密会の手順はこうだ。
月半ばまでに自分の仕事を片付けておく。
月半ばに王子たちがそれぞれの別荘に向かう。
先に着いた王子の召使いが、他方の王子の別荘に向かい、隣国の王子の到着を待つ。
隣国の王子が到着したら、合言葉を確認する。
合言葉は、別荘を意味する「アネックス」
互いの到着を確認した後、国境付近の教会に向かい、密会をする。