どういうことですか?
「これは一体……どういうことですか?」
海水でびしょびしょに濡れたルルナは寒さに震えながら聞いた。
「崖の下に兵士を置いて、私を受け止めさせるなんて……」
「そりゃあ、もちろんあなたを殺すつもりなんてなかったからよ」
だから、私は兵士を崖下の海に待機させて、崖から落ちてくるルルナを布で救出させたのだ。
「じゃあ、どうして処刑なんか……」
「納得出来なかったのよ」
私は教えてあげる。
「好きだった男に婚約破棄されて、そいつが他の女と幸せになるのが許させなかった。だから、あなたたちの関係を壊してやろうと思ったの」
「にしても、大袈裟じゃないですか」
「強引に別れさせたところで、どうせまたくっつくでしょう?」
ならばルルナが心の底からバラッドを嫌うように仕向けなければならない。
それが今回の茶番劇。
「まあ、そのおかげで自分のためなら躊躇なく愛する者でさえ崖から突き落とせる最低な男だってわかったわけだけど」
「それは……そうですが」
俯くルルナ。
愛し合ってると思っていた男に殺されかけたのだ。
その絶望はとてつもないものがあるだろう。
「あーあ、満足したけど、気分は良くないわね」
「王女様のせいでしょう……」
ルルナは恨めしそうに私を見た。
その顔が見れたし、バラッドを牢獄送りに出来たし、今回の復讐は大成功だ。
あなたの心の最愛を処刑してやったのだ、なんてね。
これで少しは失恋の悲しみが癒えるといいなあ。
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