プロローグ 筋肉、異世界に降り立つ
あ~分かってる分かってる。確かにこいつは無双もするし異世界ものだ。だからってメタとギャグをぶち込んじゃいけねぇって法はねぇだろ?俺がやらなきゃ優秀な組合員がやる。もうとっくにやってるかもしれねぇけどな。
ここはとある町の競技場。現在はプロレスの試合が行われているようで、中央のリングには二人の男とレフェリーが居た。大観衆の歓声とスポットライトが当てられている二人の男、グローサムと対戦相手のマーティーである。彼も一般人から見れば途轍もないスーパーヘビー級レスラーだが、グローサムはそれに並ぶ巨体と雑コラかと見まがうほどの筋肉を持っていた。
「ぬううああああ!!」
「ぐあぁっ!」
グローサムがタックルを繰り出し、マーティーの体が吹っ飛ぶ。すぐに立ち上がり、タックルで反撃するが、止められた上にバックドロップで反撃されてしまい、そのまま昏倒してしまった。あっけなく勝負がついてしまい、観客のボルテージもいまいちである。彼はあまり賢くない。強きナイスガイであったが、盛り上げ下手であった。それはトレーナーにも言われるが、彼は手加減をすることは相手に失礼であると考えている。それは決して悪いことではないが、彼ははっきり言って逸材である。既に10年以上チャンピオンであり続け、今も彼に勝てるレスラーはいない。故に、彼にはアンチも大勢いる。
「さっきから僕のことを話しているのは誰だい?」
・・・・・・そしてよくナレーターに干渉してくる。
試合を終え、グローサムはグリーンのTシャツとベージュのズボンを着用し、街を歩く。何だかんだでファンは多く、周りには老若男女、色々な年代のファンが集った。どうやら握手やサイン、ツーショットなどを求められているらしい。慣れているようであり、一人ひとりに誠意を込めて対応している。彼はファンを大切にする。だから、握手で手を握りつぶすことも、サインペンをへし折ることも無い。ツーショットの時は屈んで全身が入るようにする。
グローサムがファンの対応をしていると、群衆の隙間から少女が見えた。道路に弾き出されたらしく、トラックに轢かれそうになっている。グローサムは群衆をかき分け、少女のもとへ駆け出した。少女を抱えて群衆のところに投げ、彼はトラックを受け止めようとした。が、流石にトラックに勝てるはずも────
「むぅん!!」
「すげえ、トラックを止めた! さっすがグローサムだぜ!」
……止めたらお話にならんでしょうが。
「ああしまった!」
何だかんだでグローサムは死んだ。色々な方法を取ったが、結局神の権能で殺してもらった。
「なんでコンバインで轢き潰そうとしたらコンバインが負けるんだい? 君ちょっとおかしいんじゃないのか?」
「自分は筋肉が取り柄ですから!」
「……あっ、そう」
グローサムは目の前にいるオッドアイの神に快活に答えた。答えになっていない。対する神は呆れている。
「天国か異世界かどっちにしようかな……どっちに送ってもロクなことにならなそうだけど……」
「異世界? 異世界とはなんですか?」
「別に面白みも無い使い古された世界だよ。ドラゴンとかがいる西洋風のよくあるやつだね」
ドラゴンと聞いて、グローサムが目を輝かせる。
「そこに行かせてください!」
「……サボりたいしもういいや、それじゃあ行ってらっしゃーい」
グローサムの足元に魔法陣が浮かぶ。神は神で随分適当だ。私もそろそろお茶がしたい────
「むん!」
・・・えっ、ちょっと、なんで足を掴んでいるんだ?というか何故掴めているんだ?
「やっぱり誰か居たか!」
なんてこった、よりにもよって最悪のタイミングで掴まれた。ちょっとアラン、助けろ。
「今日はもう閉店だよ」という看板だけが立っていた。あの野郎……
結局一緒に異世界に送られてしまった。なんてことをしてくれたんだこの筋肉ダルマ。
「人の悪行を批判するのは構わないけど、誹謗中傷だけはしては駄目だよ」
やかましい、誰のせいだと思ってる。
圧倒的凶行に走った結果の呪われた産物。ちょっと羽目を外し過ぎたかもしれないけどま、いいや。ゲリラ、スリラー(以下略
気が向いたら不定期に更新するけど気にするな!では
デデンデンデデン
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