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第2話 一緒に住むことになった

翔太たちは、翔太の父と結奈の母が一緒にいた理由を聞くため、松坂家にいた。

出会った喫茶店でそのまま話せばよいと思ったが、翔太の父が渋ったからだ。


「とりあえずお茶でも出すから翔太君たちは座っててね。」

「手伝うよ美雪さん。」

コップを用意する。

(いやなんでよその家の食器の位置知ってんだよ……)

そう聞こうかと思ったがやめた。

今はそのタイミングではない。きっと今から説明があるはずだ。そう自分に言い聞かせるのだった。



「それでなんで二人は一緒にいたの?」

結奈が切り出す。



神島家は男だけの家庭、松坂家は逆に女だけの家庭だった。

マンションの部屋は隣同士だったこともあり、昔から家族ぐるみでの付き合いはあった。

翔太の父が残業で遅くなる日は、松坂家で一緒に夕食を食べたり、休日に父が車を出して海なんかにみんなで行くこともあった。

しかしそれは、翔太たちのためにしていることだと思っていた。

いままで親同士が一緒にいるときには、必ず翔太たちもいた。

だからこそ、知らない間に翔太たち抜きで会っているのを見たときは衝撃的だった。



先に口を開いたのは、翔太の父、大輔だった。

「えっと……その…だな……婚姻届けを出してきたんだ。」

「は……?」

意味が分からない。というよりも頭が理解しようとするのを諦めてしまう。

(婚姻届けって誰とのだよ……)

なんとなく相手は察しがつく。だが、何かの間違いかもしれない。そう翔太は思いたかった。


しかし、そんな希望は結奈の母の一言で断ち切られる。

「大輔さんと私結婚したの‼」

「「はぁ?!」」

翔太と結奈の絶叫に近い悲鳴が部屋に響き渡ったのは言うまでもないだろう。



声を出して乾いた喉を麦茶で潤す。

「なんで?」

色々聞きたいことはあったが、今言える言葉はこれが精一杯だった。


「俺たちって男だけだから色々困ることあっただろ。その度に相談に乗ってくれる美雪さんに惹かれていってだな...」

「親の恋愛事情なんて聴きたくねぇよ……」


「それでこれからどうなるの?」

意外にも結奈はもう落ち着きを取り戻している。

そんな結奈に翔太は少しだけ感心していた。


しかし、いつまでも驚き続けていては身が持たない。

深呼吸をし、心を落ち着かせて父の言葉を待った。


「俊太と結奈ちゃんが神島家に住んで、俺たちが松坂家に住めばいいじゃないか。」


思わず耳を疑う。というよりも父の頭を疑う。

まともな思考をしていたら、そんな考えが出て来るはずがない。

そんなの認められるはずない。きっと結奈の母が言ってくれるだろう。


「それいいじゃない‼結奈と翔太君昔から仲良かったし、問題ないでしょ‼」


それを聞いて父はだよな、だよなと言わんばかりに頷いている。

どうやら彼女たちにはこれ以上にないほどのいい案だったらしい。


しかし、彼女たち親側に問題はなくとも俺たち子供側としては問題しかない。

最後の希望を託して結奈にそれでいいのかといった視線を送る。


「まぁ、別にいいんじゃない?」

「結奈ちゃんもそう思うか‼じゃあ決定だな‼」


そんな感じで俺たちは同棲することになった。





それから夜までは、それぞれの家に移動するためにちょっとした引っ越しをした。

電化製品はそれぞれの家にもとからあるものを使えばいいので、実際に移動するのは2人分のものだけだった。

翔太はもとの家のままなので、結奈の手伝いをメインにした。


教科書や参考書類が少し大変だったものの、使っていないものはきれいに縛ってあったのでスムーズに進んだ。


いままで父が使っていた部屋が少しずつ変わっていくそんな光景に、翔太は少しだけしんみりとした気分になった。

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