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第1話 告白は波乱の始まり

部活動の開始を告げるチャイムが鳴るころ俺――神島翔太は校舎裏で幼馴染を待っていた。


「おまたせ翔ちゃん。なに?大事な話って。」

待ち人の幼馴染――松坂結奈(ゆな)がやってくる。


「わざわざこんな場所に呼び出すなんてまるで……」

まるで告白。そう、その通りだ。だって俺は告白するために結奈をここに呼び出したのだから。

ありきたりだと笑うものもいるだろう。

しかし、恋愛経験はもちろん告白経験すらない翔太が考えられるのはせいぜいこの程度のものが限界なのだ。


「松坂さん‼ずっと前から好きでした。付き合ってください‼」

早まる呼吸をどうにか押し込めて言葉をひねり出す。


「なによ改まって苗字呼びなんて。」

結奈はすこしからかうように言う。

しかし、流石に告白を受けて平常心ではいられないのか徐々に顔が赤く染まっていく。



どれほど時間がたっただろうか。

さっきの言葉を最後に俺たちは言葉を交わしていない。

はやる気持ちをなんとか抑えて、結奈の返事を待つ。


「いいよ……翔ちゃんなら…いいよ……」

スクールバックで顔を隠し、今にも消えてしまいそうな声で答える。


理解するまでに10秒かかった。

決して返事が聞こえなかったわけではない。

ただ、翔太の頭が処理ないほどの情報量がその仕草と「いいよ」にはあっただけのはなしだ。


「ほんとに……?」

「何度も言わせるな‼……バカ。」

結奈の反応を見て少しずつ実感がわいてくる。


さて、告白した後は何をすればよいのだろうか。

告白することがゴールだと思っていた翔太は、その後のことなど全くと言っていいほど何も考えていなかった。

恋人になるになることはスタートでしかないことを理解するのに時間はかからなかった。


しかし、この場で「じゃあまた明日学校で。」なんて言って帰ることなど出来るはずない。

そんなことをするのは、愚か者としかいいようがないだろう。

それぐらい彼女ができたことのない人間でも『男』であるならそんな行動はとらない。


「じゃあ帰ろうか。」

翔太は紳士的(へたれ)だった。

結局いつもと同じように結奈と一緒に帰るだけだった。

いつもより少しだけ肩が近くなっていることに二人が気づくことはなかった。



行きと帰り同じ道を通っていても、隣に人がいるかいないかではかなり見える世界が変わってくる。

その隣にいる人が今日から付き合い始めた人ならば尚のことだ。


「あれ、あんなところにお店あったか?」

「どうだったかな……そうだ、せっかくだしあそこ行ってみようよ‼」

近くまで行ってみるとその店は喫茶店だった。

結奈と一緒に帰るときには、必ずと言っていいほどにどこかに寄り道する。

翔太もそういった寄り道は好きなので、よく付き添っていた。


店内は古き良き喫茶店といった雰囲気だった。

俺たちは向かい合った席に座り、結奈はパフェを、翔太はコーヒーを注文する。


「翔ちゃんコーヒー苦手なのによく頼むよね~」

「別に苦手ではないよ。なんかコーヒー飲んでると大人って感じするじゃん。」

「そんなこと言ってる間はずっと子供でしょ。」


そんな何気ない話をしていると、通路を挟んだ隣の席に一組の男女の客が来た。

特に意味はなかったが、なんとなくその客たちの方を見る。

翔太の視線につられて結奈もそちらを見る。


「何してんの父さん。」「お母さんじゃん。」

結奈と声が重なる。


翔太たちの隣に来た客は、翔太の父と結奈の母だったのだ。







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