5.俺は生粋のギャンブラー!
俺は悩んでいました。
……そう、お金に。
追放される際に勇者から資金を分けてもらったものの、お先真っ暗な俺には、残りのお金も心許ないのだ!
こんな時こそ、真剣に考えなくては!
やはり、お金を増やすと言ったら……カジノだ!
かくしてタケシは、カジノへと向かった。
―カジノ―
「ひょえ〜これはデッケぇぞ!」
カジノに着いた俺は、その店の大きさに愕然としました。
実を言うと、カジノに来るのは初めてなのです。
『カジノだけはするな!』と、父に厳しく言われていたから。
しかし、かく言う父は相当なギャンブラーで、俺は幼少期から英才教育を受けていたのです。
そう、ギャンブルの!
その甲斐もあって、俺はこのカジノで大勝する事を確信していました。
俺は一人、入口の前で「ぐへへ」と、変な声を漏らし、不敵な笑みを浮べていました。
そして、周りを通過していく通行人たちから生暖かい視線を向けられているとは知らず、俺は両手を空に向かって突き上げて言いました。
「これから俺のゴールデンロードが始まるのだ!
お金持ちに、俺はなる! ぐへへへへ!」
一人、喜びにふけていると、カジノの入口で非常に落ち込んでいる少年が居ました。
おそらく、俺と同じくらいの年齢でしょう。
「く……くっそぉー!! あれは絶対四番だったろ! イカサマしてんじゃねーのかこの店はァ!!」
足で何回も地面を蹴り、相当な悔しさを露わにしていました。
すると、店の中から非常に体のしっかりとした、サングラスを付けて黒服を着た男達が出てきました。
「お客さん、ちょっと裏まで行きましょうか?」
何やら、怪しげな勧誘であった。
おそらく、店を貶していたあの少年は、あの黒服たちに連れて行かれるのでしょう。
しかし、そんなの俺には関係ありません。全くの他人だし、どうなっても俺は知らないのです。
「……ち、ちょっと待ってくれよォ! 俺は何も言ってないんだって! さっきこの店を貶していたのはアソコのガキなんだって! 俺はただ、サッカーの練習してただけなんだって!」
そう言うや否や、その少年は俺の方を指差してきました。
「……は、はァ!? な、何言ってんだよお前!!」
当然、俺は何も言っていませんし、貶してなどいません。全くの無罪です
しかし、その言葉を信じたのか黒服たちは真っ先に俺の方に向かって来ました
カジノの用心棒が、そんな簡単にギャンブラーの言葉を信じていいモノなのだろうか? と、疑問に思ったのはさておいて。
どうする、タケシ!?
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