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出会いと別れ4

『マスターに対する有力候補から起動します。仮想人格変更:設定番号十八。妹アインス』

「え?」


管理人(ライブラリアン)】を光が包み込み、暫くすると変化したシルエットが浮かび上がってくる。

 露わになった姿にリードは声も出すことができない。


『ねぇ、リードお兄ちゃん。私の性格これでいいかなぁ? それとも、これじゃ、ダメ……?』


 絶句。

 あまりのその変わりように驚きすぎて言葉が出なくなった。

 正装のような堅苦しい恰好から一変、少女はツインテールにオシャレなスカート姿へと変化した。ついでと言わんばかりに声も幼く舌ったらずに変化している。

 それは、まるで本物の妖精のような可憐さを備えた美しい少女で——リードはぐっと胸元を押さえつけた。


「ア、アウト! 次のにして!」

『これじゃあダメなの? そっかぁ……。仮想人格変更:設定番号十九。妹ツヴァイ』

「んんっ?」


(あれ? 今、また妹って……)


 抱いた疑問の答えはその直後、簡単に知らされることとなった。

管理人(ライブラリアン)】を包み込んでいた光が消え、姿が(あら)わになる。


『兄さん。私の人格はこれで大丈夫ですか? これもダメ……ですか?』


 今度はポニーテールに柄が存在しないシンプルなスカート。

 町娘というよりは貴族の令嬢のような、少しだけキッチリとした格好へと変化した。

 深窓の令嬢を思わせる美しさとこれではダメかと聞く敬語とのギャップに胸を打たれ——リードは土に膝をついた。


「そ、それもダメ! チェンジ! チェンジッ!」

『そうですか……。兄さんの希望に添えず残念です……。仮想人格変更:設定番号二十。妹ドライ』

「んんんっ? えぇっ?」


(今、また妹って言ったよね……?)


 確かにまた聞こえた。否、聞こえてしまった。

 それはつまり、今光が包み込んでいる【管理人(ライブラリアン)】が現れた時に発せられる言葉は——


『……にい、さん。これじゃ、だめ?』


 次に現れたのは、少しぶかぶかな服から顔を覗かせて恐る恐るこちらを窺うロングヘアの少女。

 主張が激しい胸とは対照的な強く主張することができない控えめな性格で、否定を恐れつつも兄である自分にだけは気を許す、思わず守りたくなる少女の姿に——リードはハッとなって叫んだ。


「変な考えを持つな! 僕は兄じゃないだろう⁉」

『ひうっ……ぐすっ……ごめん、なさい』

「あ、違うよ! 君に怒鳴ったわけじゃないからね——って違う! そうじゃなあああい!」

『ごめん、なさい……。仮想人格変更:設定番号九十九。メイド毒舌』


 何やら聞き捨てならない単語が聞こえてきて、とりあえず落ち着いて話をするために変化を停止させようと声を張る。


「ストップストップ! 途中でもいいから一旦止めて!」


 すると、光がパッと消えてメイド用のヘッドドレスを付け、メイド服を着かけた下着姿の少女が現れた。

 本当に変化している途中で止まった少女がこちらを冷たい目で見つめながら——


『まったく、ごちゃごちゃと注文の多いご主人様ですねぇ? 自分のメイドの着替え姿を覗き見ようだなんて、いくらモテなくて童貞なご主人様でも軽蔑いたしますよ?』

「な、なななっ! どど、童貞ちゃうわっ!」

『それで、いつまでじっくりねっとりと見ているつもりですか? 私を見て欲情するなんて、ほんとキモイんですけど』

「ストップ! もうやめて! 僕が悪かった! ちゃんと考えるからぁ!」


 リードの悲痛な叫び声が森の中に木霊した。


半裸アシストちゃん。夜もう一話更新します。

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