出会いと別れ3
突然視界内に現れた少女。
特徴は、小さい、可愛いくらいだろうか。
だがリードは、その少女の存在について説明を受けても尚、理解はできていなかった。
こんがらがって首を勢いよく振ってみると、その少女も視界が動くスピードに合わせて移動する。
視界はぐるぐる回るのに、その少女は常に同じところに存在する。
——なるほど、少女は視界に直接存在しているのか。
それが何となく面白くてずっと首を振っていたら目を回してしまった。
「じゃなくて! 【管理者】って、僕の異能だよね?」
『イエスと回答します』
「……それが改変して【管理人】が作成されたってどういうこと? それに仮想人格って何⁉」
情報を一旦整理してみることにした。
【管理者】はリードの持つ異能の名称だ。
その効果は自身に関わる危険や出来事を文字通りアナウンスしてくれるもので、発動はランダム。
リードにとって【管理者】は役に立たない異能だったはずだが、どうやら改変して【管理人】になったらしい。
「うん、意味が分からない」
未だ理解が追いつかないリードに少女が補足説明をする。
『私は元【管理者】だったものだと回答します。マスターが新たに発現させた【世界図書館】と同期し、仮想的な人格を形成した結果マスターの視界に存在すると回答します』
「えっと、君は【管理者】だったもので、【管理人】に進化したってこと? それと、僕が【世界図書館】っていう異能に目覚めたの?」
『全てイエスと回答します。また、仮想人格は変更可能です』
そのこと自体は嘘だと疑っていない。
何故なら、少女から聞こえてくる声をリードは知っていたから。
いや、知りすぎていたから。
この声は確かに紛れもなく【管理者】のもの。リードが物心ついてから、いや、生まれた時から共にあった存在そのものだ。
だが、分からないことはまだ残っている。
「仮想人格の変更ってどういうこと?」
気になったのは変更が可能だという点。
今の【管理人】は流暢な話し方になった【管理者】と言った感じで、ここから更に変わるとは想像できなかった。
『現在の人格は【管理者】を引き継いだものであり、初期状態です。また、容姿も仮想容姿として作成されているため、マスターの指定した容姿性格に変更が可能だと回答します』
だが、【管理人】は変更可能だという。
慣れ親しんだこの声でも良いが、変えられるものなら変えてみたい。
折角新しく手にした力かもしれないのだから、そう考えるのが自然だろう。
しかしどのように変更していいか分からない。
そこでリードはダメ元で一つの提案をする。
「あの、こう指定したらこうなるみたいな人格の例とかあったりしないかなぁ……なんて」
『あります、と回答します』
「あるの⁉」
あるのなら見せてもらいたい。
その中に良いものが見つかるかもしれないし、どこまで幅広く対応しているのか見てみたいという気持ちも存在する。
ならば、と見せてもらうことにした。
作者の最推し仮想人格ちゃん。
名前は明日出ます。