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冒険者登録2

 恐らく、冒険者ギルドはリードが抱いていたイメージの何倍も治安がいい。

 何故なら、リードのような新人に絡んでくる冒険者は存在しないし、ランクを決めるための試験官との試合も行わない。

 それどころか受付は左右に衝立(ついたて)が置かれていて、絡まれる余地すら存在しない。

 だから、勘違いする原因を作ったウェラリーをバレないように睨みつける。


 テヘペロっと返された。

 可愛い。

 自分好みに設定しただけあって悔しいが凄く可愛い。

 ここ数日で【管理人(ライブラリアン)】についても詳しくなったはずだが、知ったことが些細なことと思えるほどウェラリーの人格は人として成長している。 


(もう。ウェラリーのせいで変に緊張しちゃったじゃん)


 脳内で考えるだけで会話できることが一番の発見だった。


『そもそも門番との会話でもどもっていた時点でただのコミュ障では?』


 いやもしかしたら口の悪さが一番かもしれない。


(……ねえ、気のせいじゃなければなんかすごい口悪くなってない?)

『いえ、マスターの設定どおりです』


 設定に真面目は入れたけど毒舌を入れたつもりはない。

 絶対違うと思いながらもギルドカードが出来上がるのを待つ。


「では、このカードに血を一滴垂らしてくださいね。それでギルドカードは完成になりますよ」


 針で指に傷をつけて血を垂らす。

 すると、カードが血に反応して淡く光り輝いた。


「はいっ! これで所有者登録も完了したので身分証として使用することもできるようになりました!」

「わぁ……。ありがとうございます!」


 カードに魔力を通せばリードの冒険者としての記録や情報が浮かび上がる。

 勿論記録はまだゼロだが、つい嬉しくなってカードをかざしてみたり、じっくりと見たりしてしまった。

 ウェラリーが目の前を飛ぶことでリードを促したことで、ようやく受付嬢がこっちを微笑ましそうに眺めていることに気がつく。


「あっ! ごごめんなさいっ!」


 恥ずかしさで顔が赤くなるのを感じた。


「ふふっ。いえいえ。冒険者の常識やマナーについては実戦を交えながら学んでいただく形になります。基本的にここでは説明せずに先輩冒険者に指導を担当してもらうことになっていますので、明後日の早朝にまたギルドに来てもらえますか?」

「分かりました! また明後日来ます!」

「はい。お待ちしておりますね。私はこの街のギルドの受付をしておりますハンナです。もしかしたらリードさんの担当になるかもしれないので、よろしくお願いしますね」

「よろしくお願いします!」


 そのままリードは、緊張で右手と右足を同時に出していることにも気がつかないままギルドの外へ出た。

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