公爵令嬢 そのいち
はじめまして。
なろうでは初投稿です。
使い方がいまいち分かってないので、粗も多いと思いますが、お手柔らかにお願いいたします。
私は裕福で権力を持つ公爵家末娘として生まれた。年の離れた兄が二人いるが、長兄は公爵家から伯爵位を授かり、婚姻をして別の邸で家族で暮らしている。次兄は子爵位を授かり、近衛騎士団で騎士をしている。長兄が跡取りとなる。兄達は美貌の父に似てないが違う美貌の持ち主だ。
私は蝶よ花よと父公爵に可愛がられ、広大な公爵邸でたくさんの使用人に傅かれて育った。私は美しいものが好きだ。父公爵は私のためにそれは美しい庭を作ってくれた。邸も美しい絵画を飾り、白を基調にした建物にして眩しいほどだ。
使用人の採用も美しい事が採用条件にしてくれた。たまに会う兄二人と長兄の妻と子供も美貌の持ち主だから、私は会うのは楽しかった。私の周りは美しいものばかり。
だが私は知らなかった。現実を知ったのは使用人の噂話。美しいからと言って質の良い使用人じゃなかった。
「ねえねえ ここのお嬢様 美しいものが好きとか大言壮語してるけど、自分は使用人より醜い事に気がついてないんだもの。いくら身分高くて、お金持ちでもあれじゃあねえ。」
「そうよね。美しいものが好きってつまり自分が醜いからよね。」
ショックだった。姿見の前に立ちじっくり自身を見つめた。長兄の長女は私と三つしか違わない。長兄に似て美貌の彼女を思い浮かべる。私は彼女より鼻が低い、目が一重で横に長い、唇も薄い、彼女は抜けるような白い肌だが私は色黒。彼女は華奢な身体で腰は折れるように細い。私は肩幅が広くて太っている。これが現実。でも泣いたりしない。私は愛されている。
私はすぐ父に請うて使用人を全員普通以下の容姿の人間に替えてもらった。それから私は姿を磨くため、父に美容マッサージをしてくれ化粧の上手な侍女を雇って貰い、痩せるため高名な治療師を専属で雇って貰った。
まだまだ鏡を直視できないが、人並みにはなっていると思う。そんな時、第二王子の誕生パーティーに参加した。父に贈ってもらった美しい紅色のドレスに身を包んで。オーガンジーが何重にも重ねられて動くとふわふわと裾が動き、裾に惜しげなく宝石が縫い止められていた。揃いの高価なルビーの首飾りと耳飾りをつけ、美しいものを身につけた嬉しさで浮き立った気持ちで王宮の会場に足を運んだ。
第二王子を目にした衝撃は強く、未だに目に浮かぶのは金の髪に青い目の見目麗しい王子。金の髪に光が当たって全身がキラキラとした光に包まれいた。
第二王子は王が寵愛している身分低い愛妾の子だ。愛妾そっくりの美貌の王子を王は愛妾と共に寵愛し、王妃のいる離宮には第一王子を王妃が身篭って以来訪れていない。王の寵愛が深くても、いかんせん後見がいない。隣国の王女だった王妃の産んだ第一王子に比べて、後見がないため王族では中途半端な存在だったため婚約者もいなかった。
私はそんなことは知らない。ただただ第二王子の美貌に見惚れ、そばにいたいそれだけだった。父に第二王子の婚約者になりたいとねだった。父はすぐに王に第二王子の後見になる代わりにと、私との婚約を承知させた。第二王子の意思は一切入ってない。いきなり私と会わせられ、この令嬢が婚約者だと告げられた。
それでも第二王子は私に優しかった。優しく私に微笑み、完璧にエスコートしてくれた。王族特有の安易に感情を見せない表面的に取り繕った表情だと後日気がつくが、私は第二王子に愛されていると有頂天だった。デビュタントも第二王子のエスコートで王宮舞踏会に入場し、あまたの令嬢から嫉妬の眼差しを受けた。この美しい第二王子が私のものだと思うと、嬉しくて嬉しくて夢見心地の毎日を過ごしていた。
それでも不満があるとしたら、ドレスの仕立てだ。舞踏会の度に贈ってくれるドレスは第二王子の瞳の色ではあるが、いつもシンプルで物足りない。
侍女達はこれは最高級の布地で華美な飾りはいらないぐらいですと第二王子のセンスを褒めるが、私はリボンにレースが大好きだ。そう言ったもので私を飾れば美しくなったような気がするのだ。
ついに第二王子に私の思った通りのドレスが欲しいとねだってしまった。第二王子が渋ったので、お父様に言いますと言うと第二王子のいつも優しい顔が少し崩れたような気がしたが、受け入れてくれた。
父の名を出せばいいんだと単純に思い、美しい第二王子が私の言いなりになることに喜びを覚えた。
そして私と第二王子は王立学園に入学した。新入生代表で挨拶する第二王子にみんなが見惚れていた。あの人の婚約者は私なのよと、胸を張ってクラスに入った。残念ながら私は美容ほど勉強に身を入れてなかったため、第二王子と別のクラスになってしまった。そんなことたいしたことじゃないと、初日から私は第二王子のAクラスに休み時間ごとに訪れていた。王子の身近に立ち王子の視界にはいろうとどこに行くのにも付き纏い、他の令嬢と話すことなどゆるさなかった。
それがAクラスの他の高位貴族令息令嬢達の反感を買っていることに私は気がつくことすらなかった。ただ美しく光輝く第二王子のそばにいたかった。そばにいれば自分も美しく賢くなれるような錯覚すら覚えていた。
そして運命の第二学年がやってきた。