【4】アテナ
ここから、みなさんからのご指導を受けて、書き方を気をつけてみました。
また、これ以前のものはパソコンを使える状態になりましたら修正いたしますので、お待ちください。
「…もうひとつだけ…」
「宝石、ね」
メアリはキールの発言を予期したかのように、すぐさま答えた。
「この宝石はね…通称『アテナ』…本当の名前かどうかはわからないんだけどね」
「アテナ!?」
キールには全く聞き覚えのない言葉であった。
「やはり初めて聞く名前なのね。『アテナ』はね、本来はこの国内のある一定の一族の子が代々、手に握り締めて生まれて来るものなの。でも、なぜなのかはわかっていないし、そもそもなんで一部の一族の子だけなのか…そのへんの解明は全く、よ」
「…てことは、少将の…」
「少将なんて堅苦しいから、隊長でいいわよ」
キールは少し躊躇したが、本人がそう言うのだから…と、呼び名を改めた。
「…では、隊長。あなたはその一部の一族の中のひとつの生まれなのですね?」
「ええ。私のウィンストン家はまさにその一族よ。あと、同じ一族内では全員同じ属性の『アテナ』を持つから、私の実家の人間はみんな炎。暑苦しいったらありゃしないわよね」おどけてみせながらも、メアリは続けた。
「ただね、同じ一族内にも『アテナ』の力の強さには個人差があって…私の一族はみんなある程度強いけど、私は特に強すぎてね…子供の頃は本当に苦労したわ」
一気に話を聞いて、キールの頭は混乱しかけていたが、聞き出せる情報はすべて聞き出したかったため、質問を続けた。
「では、隊長の一族以外の『アテナ』を持つ一族についても、何かご存じなのですか?」
「ええ、もちろん。だって、私達四天王と呼ばれる4人…私としてはこの呼び名嫌いなんだけどね…この4人は全員『アテナ』をもっているもの」
「え!?!?」
キールは驚きの声をあげた。隊長や自分の他にも『アテナ』を持つ者が…これは、キールの『真の目的』達成への……大きな障害となる可能性が高かったからだ。
メアリは続けた。
「驚くことでもないでしょ。四天王って呼ばれてるくらいなのだから。彼らはね、それぞれ氷、土、風の属性の『アテナ』を所持していて、それぞれとても強力よ」
そこまで聞いて、キールは疑問に思った。
「では、俺のように四天王以外の人物が持つことは…?」
「あるわよ、現にあなたが持ってるじゃない…まぁ、なにか秘密があるようだけれど?普通は両親からしっかり教えを受けて育つはずだから、知らないなんてことは普通ありえないのよ」
「俺に両親はいません」
キールは即答した。
「あら…いろいろと訳ありなのね…まぁ、答えてくれそうにもないから、あえてなにも聞かないわ」
キールはこのメアリの配慮に感謝した。
(やはり…普段の様子は、『灼熱の天使』とは程遠いな)
そんなことを思っているうちに、メアリはキールの入隊についての詳しい話に移ろうとしていた。
「『アテナ』については、今日はこのくらいにしましょ。また追々、詳しいことは教えてあげるわ」
「はい…ありがとうございました」
「いえいえ、あなたの『アテナ』の力は、私の隊には絶対に必要なのだから…このくらいの話はいくらでもするわ。で、入隊の件なんだけれど…詳しくは、こちらのハサウェイ・ヴェス大尉からしていただきましょうか」
キールは、
「絶対に必要…」と言うメアリの目に、またもや炎の揺らめきを見た…が、今はヴェス大尉と呼ばれた、メアリのそばでずっと控えており、射撃場にも同行していた、タレ目で顎鬚を生やした士官の話をおとなしく聞くことにした。