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「やっと終わったかのか?」


「どうだろうな…、油断は出来ないが、少し休憩しよう」


 サザミの誰に向かって問い掛けたのか分からない独り言の様な問いに、ジンは返答した。それは、ほぼ反射的に返した様な感じだった。


 遺跡の中は綺麗に整備された建物の様な内部構造だった。


 床と壁は、デコボコしておらず、また天井はアーチ型をしていた。当時は、ここを聖堂として作ろうとしていたのかもしれない。そんな感じのする内部だった。


 遺跡内部の小部屋に入り、安全を確認すると、殆どの者が座り込んだ。


 そんな中、ジンは立ち上がり、全員の安否確認を行う。


「みんな、疲れているのは分かるが、各自の状況を教えてくれ。怪我や、何らかの不調の者はいるか?」


「…大丈夫」


「うん、なんとか」


「後少し休めば動ける」


 各々返答をするが、その言葉に力は無い。


「アマカ、例の物をみんなに配ってあげてくれ」


「うん、分かった」


 アマカは、ユックリ立ち上がると、背負い袋の中から、小袋を取り出した。小袋から一粒づつ配る。


「これは…飴玉?……うん、おいしい」


「ああ、特に何の効果も無いけど、まあ、疲れた時には甘い物さ」


 シュウの言葉に、ハイルは生きている喜びを感じていた。


 コロコロ、口の中を右に左に飴玉を全員が転がす。


「あー、今まで生きてきた中で一番美味しい飴かもー」


「あー、わかるー」


 幸せな表情を浮かべ、ノーラとエリナは口の中に集中していた。



「シュウ。ありがとう」


「どういたしまして」


 ジンは、肉体的疲労だけでなく、精神的疲労を緩和させてくれた事に感謝していた。


「気になった事があるんだが、いいか?」


 飴が舐め終わりそうな頃、シュウは切り出した。


「これまで襲ってきた寄生されたヤツラは、その状態こそ色々といたが、基本的に自ら歩いて来れるヤツラだった。しかし、そんな事があるだろうか?例えば下半身が無いヤツとか見ていない」


「そういえば、そうだな。でもそれが何か問題でも?」


 前世の記憶のせいか、シュウにとって寄生され変化した者が全て人型のみとは、どうしても思えなかった。


「もしかしたら、この先、複数人がくっついた様なヤツが現れたりしてと思ってな…」


「うぇ、勘弁してくれよ。いままでのでお腹一杯なのに、更にお代わりとか、消化しきれないぜ」


 チャコウは、ぐったりした表情をしながらも、シュウに軽口で返せるくらいには回復できたようだった。



 その後、一行の前に、シュウの言うようなタイプが現れる事は無かった。





 そして、遺跡調査を進める彼等の前に、大きな扉が現れるのだった。


 ケネス、モール、ハイルは、扉を調べ始めた。


「この扉の意匠は、古代メルトリア文明の物ですね。凄いです。風雨に晒される事無く、遺跡の奥にあった為、こんなにも状態が良いなんて…」


 ケネスは、先程までの疲れが嘘の様に活発に調べている。


「どんな塩梅だ?」


 ジンが尋ねると、ケネスは少し難しい顔をする。


「この扉はつい最近、えーと多分二年以内に開かれているとおもいます。前の調査団が開けたのかもしれません。ここに痕がありますから。ただ…」


「ただ?」


「扉は基本、句切の為の物です。特にこの意匠は高貴を表す物なので、この先にあるのは、当時、地位の高い人のみが入れる区画と考えられます」


「おっ、ってことは、お宝発見の予感?」


「どうでしょう。そうとは限りません。どちらかというと封印に近いかもです」


「だからと言って、ここで立ち止まる訳にもいかない。開けられそうか?」


「はい、やってみます。ハイル。ちょっとこっち来て」


 ケネスとハイルは、扉を開こうと、調査を進めていく。




「なぁ、サザミ。この辺、ちょっと変わってるなぁ」


「ん?何がだ?ニキシ」


「ほら、この壁とか、さっきまでと違いボコボコしている。途中途中に綺麗に区切られてて、調度中指一本分くらいの棒を何個もつなげているみたいだなぁって」


「まぁ、そうだな。もし、これが中指くらいの棒の集まりだとしたら、何万本あると思うんだよ。それにそんな物だったら、こんなに頑丈に固まっていられないだろう。そう見える様に彫ったんだろ」


 二人は周囲を警戒しながら、警備をしていた。




「よし、それじゃぁ、魔力を流すぞ」


 ハイルは、扉に内部構造を確認する為の魔道具を取り付けると、魔力を流し起動させた。



 その時、その魔道具に反応する様に扉の周囲は、緑色に光だし、その光は壁に刻まれた溝に沿って広がっていった。


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