スキルの種類
仮にスキルは神が与えるという点を肯定したとしよう。
なら何故、数やレベルといった差をつけるのか。
都合の良い事に、人は勝手に理由を付けて納得してしまう。
信仰心が大きい小さい。
神に好かれた嫌われた。
など様々だ。
また、スキルは儀式前から発動し、その片鱗が現れる。
私が大荷物を持ち上げられる等だ。この点が矛盾する。
なら、生まれた時から与えられるのでは?とも考えられるが、教会がそれを否定している。
教会はあくまでも、10歳時の儀式の時に神よりスキルが与えられるとしている。
理由は分からない。
教会にこの点に聞きたくても、うやむやにされるし、微妙にタブー化されている空気がある。
スキルを才能を示しただけと考えるには訳がある。
この世界のスキルは、与えられたら直ぐに使えるという物ではない。
例えば、火の魔法を覚えるとする。
この場合、火の魔法を使う者の下で修行を行い、習得することで、初めて使えるようになるのだ。
では、スキルの有無の明確な差は何か?
それは、純粋に習得までの速さだ。
先に示した火の魔法の例にこんな話がある。
火の魔法のスキルを持たない者が修行を行い、魔法で火種をおこせるようになった。そこでその者は満足し、それ以降は修行を終えてしまったそうだ。
つまり、スキルの有無に関わらず、時間はかかるが、ちゃんと習得ができるのだ。
また、スキルにはレベルがあり、高ければその分習得するまでの時間が早くなる。ただそれだけなのだが・・・
明日は教会で勉強の日だったな。
教会では週に1度、村の子供向けに勉強会を開いてくれている。宗教としての教え以外にも、字の読み書きや一般常識について教えてくれているのだ。ありがたや〜ありがたや〜
ちなみにこの村には、教会は一つで、司祭様とシスターの二人が仕えている。
翌朝、教会にむかう。
今日の担当はシスターのようだ。
「今日はスキルの種類についてお勉強しましょう」
スキルは、主に3種類に分類される。
戦いに優れた武術系や魔法系。
生産に優れた鍛治系や農業系。
それ以外に、計算や数字に強くなる物や、
交渉等が強くなる変わり種もある。
その分、非常に残酷だ。
スキルは、その人物の性質に沿ったものとは限らない。
優しい人物に呪術スキルがあったり、
体格に恵まれた人物に裁縫スキルがあったりする。
逆に完全に相性が合うと、英雄や、伝説の人に成ることもある。
また、スキルは一人に1つとは限らない。
複数持つ者もいる。
70%の人物は1つだが、27%が2つ、2%が3つ。
残り1%以下がその他にあたる。
歴史上最大スキル数は8つであり、最小は0である。
このようにスキルが明確に表示されるため、殆どの人は自分のスキルに沿った職業に就くことになる。
好む、好まないに関わらずだ。
「オレは、将軍になって、魔物を一掃する」
「私はカワイイお洋服をいっぱい作りたーい」
「僕はエライ学者の先生になるんだー」
「おいらは・・・」
「オレは・・・」
みんな口々に自分の夢を語っている。
「ねぇ、シュウは何になりたいの?」
「そうだなぁ、生産系なら何でもいいよ。父ちゃんの様な大工も良いし、母ちゃんの様に洋服の仕立てもいいなぁ。」
「力持ちなのに?」
「それはそれ、これはこれだよ。」
カラーン、カラーン。
夕方の鐘がなる。
「ハイハイ、今日はここまで。
来週は魔法について、お勉強しまーす。」
魔法・・・について・・・か・・・