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黒き暗きモヤ

意思を持った黒いモヤはユックリとシュウを包み込もうとしていた。


チンッ!チチチンッ!!


「んんー?何だぁ?」


チチンッ!チチチチンッ!!


固い小さい物がぶつかり合う様な、静電気が弾ける様な、そんな音が鳴り響く。

黒いモヤのデーモンは、何かをしようとしたが、上手く行かないらしい。


それは、モヤの中で捕われているシュウにも理解出来ていた。


自分の中にあるナニかが、内に入り込もうとするモヤを防いでいた。

ナニかについては、思い当たる節が有る。


神の恩恵(クシャミの唾)だ。


正直、それのお陰だと思うと複雑な気分だ。


だが、お陰で助かり、冷静になることが出来た。


相手は遠慮のいらない、いや全力で挑まないとマズイ存在。



シュウは、全身に張り巡らせた魔力糸に、更に魔力を込める。


魔力糸の修業に8年。

ひたすらに魔力糸に磨きをかけてきた。


魔力糸は体外に出す武器や道具としてだけでなく、皮膚の下、筋繊維の中、骨の中にいたるまで・・・


それは、強固で、身体能力を強化する鎧となっていた。


恩恵と魔力糸の力で強引に振りほどく。



フンッ!



バリーンッ、パラ、パラパラ



シュウを包み込み覆っていたモヤは、その形状とは裏腹に、まるでガラス板が割れるかのように崩れていった。



「ほぉほぉほぉ、これは興味深いなぁ」


破られるとは露にも思っていなかった黒いモヤのデーモンは、驚きながらも、楽しげに、それを眺めていた。


空かさずシュウは、手を下から上に振り上げる。

その指先からは、鋭利な刃物の様な状態の魔力糸が伸びていた。



プシュンッ!



ほぼ外してしまったが、僅かに、ほんの僅かに、だが確実に相手を切り込んだ。


「ほぉほぉほぉ、この私を傷付けますかぁ。これはこれは、とても、ええ、本当にとても興味深いなぁ。実に面白い」


腕を組み、顎に手を当て、考えているように見える仕種をとると、急にきびすを返し・・・


「フフ、急用が出来たので、これで失礼しますぅ。機会があれば、またお会いしましょう。それではお元気でぇー」


そう言うと、霧散するように消えていった。




完全に気配が無くなると、元の静かな状態の森に戻った。


しかし、まだ何も解決していない。


森はアマカの生み出した毒が漂い、そのアマカは目の前で横になったまま。


村人達もアマカの毒で衰弱したままである。



どうしようかと考えながらも、緊張の糸が切れ、座り込むシュウであった。

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