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8年後

そして、8年の歳月が流れた・・・


「納品用の皮も集まったし、そろそろ行くかね」


高く積まれた皮素材を魔力糸で作った亜空間に収納すると、洞窟の外にでた。


「うん、いい天気だ」


空を見上げると、シュウは魔力糸で翼を作り、青空へと羽ばたいた。


向かうは北西。そこにあるはアルニア共和国の自由海洋都市アニアム。

人だけでなく、獣人、有翼人、半魚人にエルフ、その他多数の種族の暮らす多民族多人種の共和国である。


シュウがここに来たのは、ある商人との取引の為。



山賊のアジトだった拠点には、被害者であろう行商人や旅人等の手記が残されていた。その手記を元に、高速移動の修業として、手記に書かれた街や村、時には大都市に行っては、拠点に戻るを繰り返した。


その最中、素材の収集に来ていた一団と遭遇。

魔物との戦闘で苦戦していた彼らを助けたのが縁で、この都市を知ったのだ。



シュウは、混乱を避けるため、都市のだいぶ手前で着地し、歩いて向かう。


有翼人や飛空の魔法を使える人等、空を飛べる人がいる世界ではあるが、流石に一般的ではない。

高速で走る方が、世間的にはまだマシだった。


本来、拠点の洞窟とこの都市までの距離は、馬を飛ばしても1ヶ月以上はかかる。

しかし、シュウは飛ぶ事で約半日で到着することができた。


また、わざわざ離れたこの都市に来るのも理由がある。

先に述べた通り、この都市は多民族多人種都市。数多くの種族がその種族特製を活かして生活している。そのため、スキルの有無だけでなく、実力のみでも判断されることが多い。実績重視の為、スキルゼロのシュウにとって、とても居心地が良い。


入関チェックを済ますと、足早に素材収集ギルドを訪れていた。


この世界に世に言う「冒険者ギルド」は、存在していない。


在るのは、魔物や野生生物由来の素材を必要とする商人や職人と、それらを集める狩人を仲介する素材収集ギルドである。狩人にとっては、商人から不当に安く買い叩かれるのを防ぐ為、商人職人にとっては、ツテの少ない者でも安定的に素材を得る為、お互いの為の互助組織なのだ。


では、魔物の脅威から身を守るには?


それらは、別に傭兵ギルドが存在している。


ギルド内は常に混雑しており、至る所で商談や取引が行われ、とても賑やかである。


シュウは、皮素材専門の窓口へ進む。


すると

「おい、見ろよ魔力糸使いのシュウだぜ」

「ホントだ。あいつってホントにゼロなのか?」


「うわっ、ホントに手ぶらだよ」

「かーうらやましいねー」


「パーティーに勧誘してこいよ」

「あいつって、ソロ専なんだろ。誘いをいくつも断ってるて聞いたぜ」


「よし、今からアイツに股開いて誘って来いよ」

「よし、今からお前の首を切り開いて、あの世に送ってやる」

ドガシャーン


と、何時も噂の的である。

ただしそれは、以前の村の様な悪感情では無かった。


窓口に到着すると、納品の旨を伝える。


「シュウ様、いつもご苦労様です。また大量ですか?」


質問に肯定の意を示すと、持参した素材の目録を渡した。


「あはは、流石ですね。シュウ様の素材は状態が良いので、商人さん職人さんに人気なんですよー。では3番倉庫にお願いします。」


足早に指定された倉庫へ向かうのだった。


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