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発見

翌朝、更に上流を目指すのだった。


上流へ進むこと数時間、ふと思った。

あ、そう言えばこの川の先って、どのくらい続いているのかな?


回りを見渡し、一番高い木を見つけると、登ってみた。



んー、パッと見まだまだ先は長そうだ。


目に魔力を込め視力を強化し、遠くまで観察してみた時だった。


・・・

「おや?あれは、馬車かな?」


だいぶ遠くにあるが、崖下に箱のような物が見える。

かなり時間が経過した風に見えるが、崖に滑り落ちたような跡がある。


以前、親父達が話していた奴かな?


特に急ぐ用も、目的地もある訳じゃないし、いっちょ確認してみるか。


・・・・・・

・・・


目的の馬車のような物の下に着いたのは、更に3日後。

近くでみると、その惨状は酷いものだった。

時間が経過している分、所々苔むしているが間違い無く馬車。そして、事故で落ちたのではなく、人為的に襲われたのが分かる。

残された折れた矢や、何かで破壊された扉のだった物が、当時の悲惨さを物語っていた。


何か役に立つ物が残ってないか探してみたが、何も見つからなかった。そう、遺体すらも・・・


これ以上見ても何も発見出来そうにないので、崖上も見てみることにした。



手と足に魔力を込め、崖上まで登る。

そこは細いながらも道になってた。


北の山に済むと言われている魔法使い、そこに通じている道なのかな。そう考えながら、見晴らしの良いこの崖上から、改めて見回してみた。


「落ちて崩れた後が南から北に向かっている。となると、襲われ始めたのはもっと南の方か。山賊や盗賊の類いなら、アジトがあるかなぁ、無さげだよなぁ」


より見晴らしの良い場所に移動すると、再度、目に魔力を込めた。注意して観察していく・・・。


すると洞窟を見つけた、どうやら人もいるようだ。


奴らが馬車を襲った犯人かは分からないけど、こんな人里離れた深い森に棲んでいるなんて、まともじゃない。

もし、山賊盗賊の類いなら、役に立つ物を持っているかもしれない。前世由来の自己中心的な正義感では、そんな奴らは殺しても良いことになっている。



なんとか山賊のアジトらしき洞窟が一望できる木の上に、到着することができた。

魔素を利用した索敵で回りの様子を伺う。

入口付近に一人。奥に最低3人は居そうだ。

このまま待機して、全体の人数を把握しなくては。


一晩様子を見たが、数は全部で6人。

全員男で、体格もソコソコ、一人ゴツイのがいるな。


奴らの会話も山賊そのものだった。

旅人や護衛の少ない商人が来ない、若い女がいない等の愚痴。命乞いする者へどう虐殺したか、泣き叫ぶ女性をどう犯したかなど。聞いてて胸糞が悪くなる物ばかりだった。



うん、こんなクズどもは死んだ方が世の為だ。

そう決断すると、深夜に寝込みを襲うことにした。


別に正義の味方になりたい訳じゃない。

これは自己満足。

食糧や金品、安全な拠点を「奪う」つもりでいる時点、奴らと大して違わない。同じ奪うなら、相手がクズの方が気が咎めない。それだけだ。


都合がよいことに、山賊共は夕方から酒盛りを始めた。途中で帰ってきた2人が食料と酒を調達してきたようだ。ギャーギャー騒いで、煩いことだ。


深夜、寝静まる頃、そっと洞窟に近づき、中の様子を伺うと、一人が外に出てきた。

一瞬焦ったが、どうやら偶然トイレに出てきたようだ。

大柄で筋骨隆々な一番ゴツイ奴だった。


酩酊状態でフラフラ。コレなら簡単に始末できる。

そうっと後ろから近づき、軽く足の関節を小突く。

すると倒れ込むように躓き、頭の位置が下がった所で一気に首を捻る。

大きな音を出すことなく、一人目を始末する。



流石に一人づつ出てきてはくれないので、中に入る。


一定の間隔でランタンが洞窟を照らす。

そうは言っても、その明るさは物足りない。

うっすらと輪郭を表す程度。


こっちとしては丁度良い。


奥へ進むと5人が雑魚寝で、大イビキをかいていた。

深く泥酔した状態だったため、特に混乱する事もなく、粛々と始末していった。


・・・・・・

・・・

ふぅ、終わったな。


軽く一息入れ、休憩後、5人の遺体を外に運び出した。


我ながら可笑しなものだ。

前世では、殺しどころか、喧嘩すらマトモにした事もない。親族の葬式の時でさえ、遺体を見るのが怖かったのに、今、山賊共の遺体を運ぶのにそういった感情は無い。


そこはかとなく現実感が薄いせいだろう。

跳躍して崖を登り、握力だけで骨を砕く。

前世では、出来ないことだ。


この世界に生まれ育って10年。でも、前世の記憶が、自分の根源はここじゃないと、心の奥底で何かが叫んでいる。ここは、超リアルなVRゲームの世界。そんな錯覚を与えている。


この事を深く考えるのは止めよう。

本当にオカシクなってしまいそうだ。


遺体から金目の物を奪い、近くの森に穴を掘り、埋葬した。その後、奴らの仲間が帰ってくるか警戒したが、1ヶ月経っても、近づく人の気配は無かった。


そして、その間山賊の拠点を自分の拠点にするため、整理すると、なかなかお宝がでてきた。


見つけたのは、魔導書だった。


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