第三十話 魔女の系譜 13
頭の中に流れ込んで来た映像がここで途切れる。
「…今のは?」
目に浮かんだ涙をぬぐいながらレンはブラッキーに問う。
「お前の姉の最後の記憶って所か、おそらくはお前かお前に関係する誰かに見せたかったんだろうな」
ブラッキーが緑色の宝石を指差してそう言った。
「この宝石に自分の最後を記憶しておいたんだろうな」
そう言うとブラッキーは魔力を感じると言った手帳を机の中からおもむろに取り出し、乱暴に後ろ足で蹴っ飛ばして床の上に落とした。
「いったぁーい!ちょっと、いきなり何してくれんのよ!」
手帳の中から現れたのはさっきの映像に出てきた、エリーゼと呼ばれていたレンの姉であるランの相棒の精霊だった。
「敵意剥き出しの魔力漏らしてたらこんな手帳蹴るわ!」
「なによ!見た目黒猫だからって偉そうにして、ほどけないようにその髭しばってあげようかしら」
「なんだよそれ!てか地味に酷いなおい!」
なぜだか喧嘩が始まってしまったので二匹?を引き離し、エリーゼの話を色々と聞いてみることにした。
「どうしてこの手帳の中にいたの?」
「ラン様の遺言でアンタが帰ってきた時のためよ、記憶とか中身も全部吹っ飛んでるかもとかって言ってたしね」
「中身…って、魂の事?」
「そうよ、だからひどい目にあわせようと思ったわ、だって当然でしょ!」
ランっていう人はそこまで夢で見ていたのだろうかと考えると、妹の『レン』がすごく大事に思われていたのが分かる。だが、それなら妹の魂はどうなってしまったのか?
「それは、呪いのせいよ」
「呪いって、あの銀髪鬼の?」
「そう、アンタの心臓は病魔に蝕まられていて長くは生きられなかった、そしてあの鬼にも狙われていた」
「どうして、狙われたの?」
「詳しくは知らないけど、闇の力の適正が高いと鬼からしたら美味しいと思われるんじゃないかってラン様は言ってたわね」
「それは…この家の家系の関係って事?」
「そうだと思うわ、そしてラン様は一つの可能性に賭けた、自分が死んで、心臓をアンタに提供する事でアンタだけでも救う道を選んだ」
「…そんなことって」
「でもそれは、一時の時間稼ぎにしかならないわ、ラン様がアイツの呪いを受けてしまっていたからその心臓を通じてアンタも呪われてしまっているのよ」
「そんな…」
「その影響であの子の魂は結局アイツに喰われてしまったわ、残ったのは肉体だけ、そこにそのおバカ猫にアンタが入れられたのよ」
そう言ってエリーゼは涙を流した、主を失い、主が大切にしていた肉親も奪われたも同然で、やり場のない彼女の怒りと悲しみだけが伝わってきた。
ここから再びレン視点のストーリーです。




