第二十八話 魔女の系譜 11
私の家系は執行の魔女と呼ばれ、別名『闇の魔女』とも呼ばれる。
また、夢でほんの先の未来を視る事があるという、私のおばあさまが前にそう言っていた。
そのほとんどは自分の歩むであろう未来が断片として見え、それが自分の死だった場合、その未来を変えるのは無理だとも言っていた。
幸いにもおばあさまは家業を早くに引退したこともあり今も健在だが、多くのご先祖様のほとんどは自分が死ぬという未来はどう抗っても誰一人としてその運命は変えられなかったと聞いている。
私が一人前として認められるための魔女としての成人の儀を迎える数日前の夜、私はある夢を見た。
夢には夜に銀色の髪をした鬼が現れ、私を殺し、妹も命を落とす…そんな夢だった。
私には可愛い妹がいた、まだ3歳と幼く心臓の病を患っていて病院から出れずにいる。
現在の魔法医療においても全ての病をなんとか出来るわけではなく、妹をなんとか助ける為に私はずっと修練をしてきた。
本来は長女として後継の立場なのだが、家業を嫌っていた私は数年前から魔法医師としての修練をし、妹を救う為だけに時間を費やしてきたのだが、その願いは叶えられそうにない。
だが、その鬼がいつ現れるのか分かっていれば、いつ危険が起きるか分かっていればある程度の干渉行為は可能かもしれない。
そう考え、私はこの日記を残します。
叶うのなら愛する妹が、妹を助けてくれる人がこの本を手に取れる未来を信じて…
運命の日、私は妹の病院に行く支度をしていた、陽は既に真上を過ぎて西に傾いている。
「理恵、行ってくるわ」
「ランお嬢様、いってらっしゃいませ」
玄関を出てすぐ、少女のような声で話しかけられる。
「どうしてソーサリーナイフ、家に置いてきちゃったの?」
「今回は必要ないからよ」
金色のポニーテールの髪、緑色のワンピース、背中には薄い蝶のような羽が4枚、大きさは大人の手より少し小さいくらいで、妖精を思わせる彼女はエリーゼ、ランの相棒の風の精霊だ。
「それに、鬼を殺せる切り札だって作ったじゃない、それも持ってかないなんておかしいよ!」
「…あの鬼は蘇るの、多分何度でも、あれじゃ本当の意味で殺せないわ」
「だからって、このままじゃラン様が…」
「大丈夫、一応おばあさまも後から来てくれるって言ってたからきっとなんとかなるわ」
「…わかりました」
「じゃあお願い」
しぶしぶながらも相棒をなだめ、彼女は移動する為の魔法の詠唱に入る。
「座標転送!」
地面に描かれた魔法陣から白い光が包み込み、次の瞬間ラン達は妹が入院する病院の入口にいた。
レンのお姉さんのお話です。
もう一話続きます。




