第二十七話 魔女の系譜 10
冷たい風が頬をさわる感覚と同時に誰かに頭を撫でられる、寝返りをしてうっすらと目を開けると知らない女の人が隣で横になっていた。
「あ、ごめん、起こしちゃったね」
周囲を見渡すとうっすらと茂った森の中、星空の見える夜、すぐそばにたき火がパチパチと音を立てて燃えている。
「私ね、妹がいたの、血は繋がってないんだけど、本当の姉妹みたいに夜はこうして一緒に寝たりね」
「その子は今はxxの家にいるの?」
「ううん」
空を見上げて女の人は続ける。
「体が弱くて病気がちだったから、1年前に…ね」
なんと答えていいか分からず私は俯いていると、女の人は続けた。
「貴女と一緒に旅が出来て良かったと思ってる、だから…」
その後なんて言ったのかは聞き取れなかった、いや、忘れてしまったのかもしれない。
…そんな夢を見ていた、まだ頭が少しぼーっとし身体中に気だるさが残る、時計は夜中の0時を過ぎていた。
こちらが起きたの察してブラッキーが机の上にあったランタンを灯す。
「よう、起きたか」
「…あ、夕食食べ損ねた」
「起きて最初の一言目がそれかよ!」
ブラッキーの鋭いツッコミに笑みを浮かべると、机の上に夕食が置いてあった。
「寝てる間にお前の使用人がそれ置いてすぐ出てったぞ、保温の魔法がかかってるからまだ温かいな」
「あ、カレー!」
銀色のクロッシュを取るとスパイスの香りが部屋中に漂う、自分が知っているカレーのイメージとは少し違い、赤みがかった色のルーに具が溶け込んでいた、それにナンが付け加えられており、ルーをつけながら食べるようだ。
それを見て食欲が刺激されたせいか、レンは数分で食べ終えてしまった。
「このお嬢様は行儀悪すぎだな」
「だって、お腹減ってたし」
「具合は思ったよりは良さそうか、なら早速この本を見ようぜ、ずっと気になってたんだ」
「先に読まなかったの?」
「どうやらここの言語で書かれてるのはこの世界の標準文字じゃないみたいでな、そこでお前の持ってるアレが出番だって訳さ」
レンは早速アンダーリムをつけて解読を試みる、内容は日記のようだった。
次の話からはレンのお姉さんの視点から始まります。




