第二十五話 魔女の系譜 8
「おい、大丈夫か?」
心配そうなブラッキーの声が耳に入るが、その声に答えるのも厳しくなっていた。
(ちょっと…いや、だいぶやばいかも)
念話で返事をする中、こんな状況下にも関わらずいやホント念話って便利だとかつい思ってしまう自分がいる。そんな中でふとおかしな事に気づいた。
(なんだ、敵のHPバーが表示されてる?)
アンダーリムが起動して赤大蜘蛛の頭上に赤文字のネームプレートとHPバーが表示されている、ゲージは残り半分くらいの所まで削られていた。
(ちょっと試したい事あるんだけど、失敗したら後の事頼んでいいかな?)
(なんだ、失敗したらお前、今度こそ死ぬかもしれないぞ?)
(え?もし死んでも魂だけ引っこ抜けるんでしょ?)
(そりゃ…できなくはないがそれは器があっての前提だぞ)
試したいこと、それは戦闘のオート機能だった。
ディナルでオート機能を試した時には、戦闘時に限ってはほとんど無駄な動きをせずに狼二体を処理したのをふと思い出したのだ。
疲労がある状況下では身体に制限がかかり、本来のパフォーマンスを出すどころかろくに動けもしないだろう、もしオートモードで限界まで動けるならまだ可能性があるかもしれないと考えたのだ。
レンもまた一つの仮説を考えていた、ブラッキーが言ったように『X-code』の世界が仮想現実でなく、遠い異世界の世界での出来事だったとしたら、オート機能というのはどこから来たのかということ、それはゲームの世界の機能ではなく、別の何かしらの機能による可能性。
レンは鼻から息を吸い口からゆっくり息を吐く、これを二回、徐々に距離を詰めてくる赤大蜘蛛の攻撃範囲に入る直前で再び短剣を構える。
(アンダーリム、オートモードオン!)
その瞬間、大赤蜘蛛が高く跳躍し体当たりを仕掛けてくる、と同時に持っていた短剣をレンは投げつける、黒いオーラを纏った短剣は回転しながら大赤蜘蛛の残っていた右足三本を切り落とし、空中でバランスを崩した大赤蜘蛛は腹を上に見せるように落下した。
ブーメランのようにして戻って来た短剣はレンの左手に収まり、そのまま大赤蜘蛛の腹に両手で突き刺すと、大赤蜘蛛のHPバーが0になり動かなくなった。




