第十八話 魔女の系譜 1
「お迎えに参りました、お嬢様」
朝の日差しが差し込む、レンが目を覚ますと病室内にはメイド姿で髪の短い若い女性が目の前に立っていた、どうやら家の使用人らしく、迎えに来てくれたということで病院をすぐに退院する事になった。
外には大きい黒の車が一台止まっている、使用人がいてお嬢様と呼ばれたくらいなので結構裕福な家庭の娘なのかもしれない。
だが、そもそも何が原因で入院していたかも、どれくらい入院していたのかも、自分の今の姓すらも分からないこの状況は不安でしかないのが現状だ。
後部座席に乗せてもらいシートベルトを付けてもらう。
「具合はいかがですか?」
と聞かれ、どう答えればいいか迷っていると
(適当に首振っとけ)
と、黒猫が直接念話で語りかけてきた。
「お食事はどうなさいましょう?」
この答えだけは全力でコクりと頷いたのだった。
この世界に来てから水以外は何も口にしていないので、空腹感が辛かったのだ。
「そこのバスケットの中にサンドイッチがあるので召し上がってください」
定番の卵、ツナマヨ、ハムチーズ 苺と生クリームのフルーツサンド、どれも美味しそうだったが最初は定番の卵から頂く。
「ふぅふぁぁ!」
卵の中に入っている刻みタマネギの甘さと絶妙な加減の塩胡椒加減、感動で思わず声が出てしまった、ていうか声が普通に出るようになってる事に気づきそれにも驚く。
その様子を見て使用人の表情も緩む。
次にツナマヨを一口、いつも口にしていたコンビニのおにぎりの具のような感じのイメージと少し違い醤油に近い和風テイスト、こちらもちょっとした手間がかけられているのが分かる。
ハムチーズは中にレタス、トマト、キュウリと野菜も入っている。
「お嬢様が口に入れるのも嫌がる人参もその中に入っていますよ、気づきましたか?1
え?と中を開いて見てみるがそれらしき色形をしたものは入っていない、チーズの色がそういえば少し橙ぽいような?
というかこの私って人参大嫌いなんだ…
見慣れない木々だけが見える深い森の景色の中を車はひたすら走り、やがて森を抜けてすぐ大きな敷地が見えてくる、遠くからでも大きい邸宅であるのはすぐに見て取れた。
家に車が到着した頃、陽はちょうど真上に来ていた。
鉄の門が自動で開き、車をそのまま前まで車庫まで走らせて駐車した後、そこから家の中に案内された。
ストーリーパートです。




