第十六話 契約 6
自分を殺した相手が今目の前に立っていると恐怖で、全身が凍りつくような感覚に襲われ後ずさりする。
が、よく見ると銀髪鬼は倒れている女の子の方をずっと見ている。
銀髪鬼が明らかにこの女の子を狙っているのが目に見えた。
(もしかして、この子の魂を狙ってるの?)
銀髪鬼が女の子を狙っているのは二つの理由があった。
一つ目は、黒猫がかけた魔法、深淵の衣装の効果だ。
この魔法の効果によって少女の姿と存在を隠匿しているため、銀髪鬼からは少女の姿は見えておらず、気配や存在自体を感知していない。
そして二つ目は、少女が女の子に人口呼吸をしたからである、これは別の意味で黒猫が企んだ策略でもあった。
この人口呼吸には魔力を供給する役割があり、少女が女の子に魔力供給をしたことになる。
精霊を酷使して魔力が枯渇しかけていた女の子の魔力を回復したため、呼吸が落ち着いたのだ。
それと同時に銀髪鬼が取り逃がしたとされる少女の魔力反応を察知して、今この女の子を狙っている。
そして、ゆっくりと手に持った刀を振り上げ、そこから振り下げられようとした瞬間。
「その娘に触れるな!」
その声と同時に銀髪鬼の腹部に精霊が持っていた三叉槍が突き刺さり、銀髪鬼は悲鳴にならないような声をあげ体勢を崩す。
無防備だった所に直撃したその一撃はかなりの効果があったが、それでもまだ絶命には至っていない。
(おい!聞こえるか?今から俺の言うことをそのまま繰り返して言葉にして出すんだ)
(えっ?でもまだ声は…)
(いいから早く!いくぞ!)
突然黒猫が念話で声をかける、おそらくここが勝負所なのだろうと覚悟を決め全神経を集中する。
(霧の国に眠りし安息の地へ)
「霧の国に眠りし安息の地へ」
(この者の血を!肉を!魂をその柩に捧げよ!)
「この者の血を!肉を!魂をその柩に捧げよ!」
(魂の供犠!)
「魂の供犠!」
悪魔を思わせる三本の手が銀髪鬼の胸を貫き、青く煌く光を引き抜くと同時に少女の身体に吸い込まれていく。
と同時に、胸を貫かれた銀髪鬼はそのまま石像になり、それが灰に変わって飛散してこの世界から消滅したのだった。
ストーリーパートです。
もう少し続きます。




